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風俗情報

  平加門先生の人生相談(相談者:金子真一郎)
「平加門先生、いつもお世話になっております。先生をはじめとして、吉田編集長、元上司の岩尾悟志氏(旧ダイヤモンド映像〜現(株)岩尾悟志事務所社長)、後輩のライター中村敦彦とビデオ・ザ・ワールド誌の関係者の方々には本当に感謝しております。この場を借りてお礼をさせて頂きます。自分は三井物産の営業からいきなり司書房のSMミストレスという雑誌の編集員へと転職し、そこからひょんなことからAV男優になってしまいましたが、自分の好きなことを仕事にしていいのかと葛藤のある毎日です。
しかし、一旦仕事が入らなくなると落ちるところまで落ちていくコワい業界でもあります。自分も昨年はほとんど仕事が無く、家賃2万円のアパートでパン屋でもらった大量のパンの耳でなんとか凌いだほどです。23歳でデビューしてから早15年を経ましたが、ついに自家用車を手に入れることは出来ませんでした。原因不明の性病で苦しんだこともあります。
しかし、家族もいませんし、好きな仕事が出来るだけでも幸せだと感じてます。ただし常日頃、女はSEXが気持ち良さそうなのにかかわらず、お金を払うのはいつも男と、女に比べて男は不当に損しているように感じ、腑に落ちません。今回は自分に迷いがあるためか、業界にいながらにしても、ついに答えを得ることが出来なかったことばかりですが、先生に相談させて頂きます」

という悩み相談のメールをAV男優の金子真一郎(観念絵夢)氏からいただきましたので、それにお答えをしながら勧めて行きたいと思います。
 
このところ作品などであまりお見かけしないと思っていた、AV男優の金子真一郎(観念絵夢)氏でしたが、ご苦労なさっているようですね。浮き沈みの激しい業界のこと、特に男優さんは自らの精力にもある程度の限界があろうし、本当は女優と同じく主役でありながら、ギャラも評価も異常に低い、一種の職業上の宿命みたいなものを担っていて、筆者は変な意味でなく、陰ながら注目と同情を申し上げている次第です。正直に言えば、作品評価の中では金子氏だけでなく男優さん全般に厳しい評価をしていますが、これは、抜く抜かないの大事なところで、今度は見る者の僕らの宿命として、その男優さんの射精力などに「迫力」なり「興奮」なりを全面的に気持の上で託しているわけで、女の子達の姿態だけで抜けるというわけでもないわけです。そういう、ある種の共犯関係(?)にあるわけなので、男優さんの所業も、その作品の良し悪しの重責を担っています。だから評価も(特に筆者は恐らく他のライターの方々よりも)厳しいです。「必要不可欠な存在」なのに、見る者の抜く行為の「邪魔にならない存在」。実はこれほど難しい話はないんで、そういう気まぐれでわがままな愛好家達を相手に、文字通り、自分の身体や精力を日々削ってまでする過酷な仕事<男優>さん。老化して体力の限界を日々痛感している筆者にとって、本当に大変な、そしてまた不可思議な仕事だと、ご推察しております。

 ちなみに氏は「自分の好きなことを仕事にしていいのかと葛藤ある日々です」とありますが、先人の仕事選びについてこんな考えがあります。好きな仕事につけるというのは全労働人口の(恐らく)1%にも満たない恵まれたことだから、最後の最後までなにがあってもやり通せ、という(割と誰もが思う)考え方と、一番目に好きなこと、二番目に好きなこと、三番目に好きなことがある場合、それを趣味としてとっておきたいのなら、二番目か三番目に好きなことを仕事にしなさい。なぜなら一番好きなことを仕事にすると「純粋に」楽しめなくなるからだ、と。どちらがいい悪いでなく、考え方次第だと思いますが、これもちなみに、筆者は(漠然と思春期の頃に思った)将来は無名でもいいからもの書きになりたいという夢を、こうして29年間も続けてくることができました。途中、辞めようと思ったことはありません。年収8万円なんてことが何年も続くこともありました。それでもやめなかったのは、やっぱり(ありきたりですが)書くことが楽しいからでした。今から考えると、そんな将来の保障も展望もない筆者のわがままを許し、現実に経済的に支えてくれた家族や精神的に支えてくれた雑誌その他の各編集部、各編集者の方達の存在は何だか奇跡に近いようなものがあるような気がしています。筆者は金子氏の立場よりかなり恵まれていて、氏の葛藤はもっと奥深いものかもしれませんが、今、自分が生きているのが「奇跡」だと実感することができるのであれば、迷いの幾つかは消えるのではないかと思うのですが。あとちょっと厳しいことかもしれませんが、後半の文章に「お金」を払うのはいつも「男」で、「不当に損しているように感じ、腑に落ちません」とありますが、この世にはお金とか損得だけで仕事をしている人達ばかりではありませんし、むしろ金子さんのいられるAV業界にこそ、お金や損得だけで働いているわけではない「人々」が居そうな気がしますが。もしAV業界がお金や損得だけでの(筆者が考えている以上に)打算や利害だけでの世界だったら、こんなに発展してこなかったような気もするのですが。これはあまりに青臭く、現実のAV業界の裏側を知らない者のタワ事なのでしょうか!?

 別の側面から言うと、例えば男が女にお金を払って何らかのその関係を成立させる場合、男にできることは、そのお金の金額以上の「価値」を自ら精神的に構築する以外にありません。1万円払って1万円以上の価値があったと感じられれば、それでいいのです。虚しいし(笑)自己満みたいですが(笑)、実際、この方法しかないような気がします。

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