「お湯の中なのに、濡れてるのがわかるよ」
彼は左手は胸に置いたまま、私の大切なところを触りながら耳元でささやいた。私はたまらなくなった。そして思わず後ろに手を回してそれを握った。少し早いペースで上下する。先のほうがぬるぬるしてきた。
(あん、N君だって)そう言ったつもりが声にならない。私たちはまっくら闇の中でお互いを触れ続けた。
既に胸だけでもしびれちゃってる私は、その場所を軽く触れられているだけでイってしまいそうだった。目隠しをされたかのような暗闇だから、次は何をされるかわからない。そんな怖さと期待が入り混じって、私の脳を刺激した。
でもいいかげんのぼせてきたのか頭がモーローとする。そんな中突然、N君は私の身体を立たせ、岩壁に手をつかせた。
(まさか、ここでやっちゃうの?)
まっくら闇でも巧みにN君のそれは私の洞窟を探し出し、一気に挿入した。
(あっ、あん。声が出ちゃう。いくら貸切って言ったって、両脇には同じような貸切の露天風呂がある。声が聞こえちゃう……)
でもN君はそんなことにお構い無しにバックでどんどんと突いてくる。私は片手で口を抑えた。まっくら闇でクチュクチュという出し入れの音だけが鳴り響く。N君が何回も何回も体位を変えるのがわかった。私はなされるがままだった。頭の中が真っ白になったのはのぼせたせいなのか、快感からなのか。相手の顔も見えない暗闇の中で、私達それこそ原始に戻ったサルのように何回もイってしまった。
「ゆりか〜、どうしたんだ。メシが冷めちまうぞ」
聞き覚えのある、Nの声がした。
(えっ、じゃあ、一緒にいるのは……?)
丸いつぶらな瞳が、こっちを向いてきらっと光った気がした。そして
「ウキッ」
と1声。茶色い何かが、森の中に消えていった。
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