お互いタオルを体に巻き付けシャワールームに向かう。再びフロントの脇当りに位置するシャワールームまで歩き中に入る。シャワールームはかなり狭い。と言うか、限られたスペースで設置可能な一番小さなシャワールームを複数詰め込んだといった感じ。ところがこれだけ狭いとそれだけ密着度が高くなるという利点があり、これは嬉しい誤算だった。しかも小柄な彼女は、こちらの胸元から上を見るような格好になりお互いの顔は本当にわずか数十センチの距離で、話をするときは必然的に見つめ合うような格好になる。元々人の目をきちんと見て話すタイプの子らしく、シャワーを浴びながらの会話は疑似的ながらもつきあい始めて間もない二人といった感じ。網状になった柔らかいネットのような素材の物で丁寧に体を洗ってもらい先に出る。待っている間に体をタオルで拭き、出てきた彼女にタオルを手渡す。シャワールームで親密度がましたからだろうか、自然とそういった細かな事が出来る。
部屋に戻るとタオルを取り、上向けになってベッドに横になる。電気を落とした彼女が、ゆっくりと上に覆い被さり顔を近づけてくる。落とした照明の暗い部屋の中で、ウェット系のリップジェリーを塗った彼女の唇が鈍い光を放ち妖しげな雰囲気を醸し出す。しばし見つめ合い、静かに唇をあわせる。お互いの唇の形を探るように優しく、軽くふれる程度の強さで唇の右側から左側、そして上唇の形を確認し終えたら、下唇へとゆっくりと移動していく。こちらもその動きにあわせるように、時折軽く唇でかむようにして彼女の唇を確かめる。どちらかと言えば縦に長く厚ぼったい唇の感触を楽しむ。
十分に時間をかけながら往復すると、唇全体を押しつけてき、ゆっくりと舌を差し入れてきた。始めはいくらかためらうように、次第に激しく絡ませながら舌を差し入れてくる。両手の指で彼女の肩から腕にかけて優しく円を描くように撫でる。ビクッと肩を震わせ、一瞬舌を引っ込め細い息を口元から出し、再び激しく吸いにかかってくる。
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