■ ナンパ地獄変(1)-6 |
「でも、もう辞めてから七年くらいになるかな」
「アイドルだったの?」なんか質問がおかしいな…。
「そうねー、○○っていう雑誌の○○グランプリで優勝してスカウトされたの」
「へ〜すごいじゃない」
「でも東京ではあんまりいい思い出が無いな〜」しかしこれで泉の美貌の理由がよく理解できた。
なかなかいい雰囲気で話は弾んだ。夕刻になっても彼女の希望で天神の街をウインドウショッピングして回ると、二人はすっかり恋人同士のようだ。しかし、ここまで簡単に来たからと言って即ヤレるとは限らない。さあ、なんと言ってホテルまで連れてくるか…。
親不孝通りのフレッシュネスバーガーで軽い食事の後…オレは勇気を振り絞って言った。「あのさ、よかったら…オレの泊まっているホテルでコーヒーでも飲んでいかない?」 泉はオレの目をじっと見つめた後、黙って頷いた…。
十六歳のとき某TV局のプロデューサーと初体験した…という泉の肉体はお世辞にも抱き心地イイとは言えなかった。まっ所詮元タレントとかコンパニオンなんていう職種は自我の強い女がほとんどだろうし、我儘でなければやっていけないんだろう…。
午前二時過ぎ、明日も仕事だという泉はタクシーに乗って帰っていった。それにしても福岡おそるべし!である。確かにオレは東京から来たことや雑誌の仕事というハンデを貰っているが、ここまで簡単でいいのか?という疑問符がふつふつと沸き上がってくる。逆に言えば九州男児に対する怒りさえ憶える。
「オレも福岡に住みたい!」心の叫びだ
三日目ともなるともう手慣れたものだ。一見しただけで待ち合わせなのか、用事があるのか、それとも暇なのか…区別が付くようになっていた。出撃したのは昼頃だが可愛い子ばかりを狙っていたので最初の当たりを引いたのは三時頃になっていた。
「時間あったらお茶でも飲もうよ」
「そうですね〜」赤いダッフルコートに丸顔ショートカットの真穂ちゃんは二十歳の専門学校生だ。ロリコン好きにはたまらない雰囲気である。しかし、この後夕方から友達と待ち合わせがあるということなので、携帯の番号だけ聞いてバイバイ。まあ仕方ない。
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