■ ナンパ地獄変(5)-2 |
最初からまずまずの滑りだしを見せている。やはり相手の反応も京都とは一転しているようだ。神戸のノリがいいのか、京都が悪すぎるのか…。オレはそれを確かめるべくナンパを続行する。サンセット通りを三宮方面へ向かって歩いていると、これまたオレ好みの可愛いコちゃんを発見。
「すんません…あの…三宮駅ってどこでしょうか?」
「えっ、目の前ですけど…えっやだ、キャハハハハハ」このくだらない質問が功を奏したか、オレと美奈代(二十歳学生)はすぐに意気投合。まずは喫茶店で軽いおしゃべりからスタート。
「美奈代ちゃんは大学生なんだ…ふ〜ん」
「でも、今就職先とかないから卒業するのが憂鬱で…」
「ふ〜ん、なるほどね…」今は大学生と言えども気ままに遊んでる時代じゃないらしい。学生時代をバブル期で過ごしたオレには実感が湧かない話だ。
一時間ほど会話を楽しんだ後で「食事でも…」と切り出すと
「このあとバイトだから…」とやんわり拒絶されてしまった。バイトで学費を稼ぐ苦学生?を引き止めるわけにはいかない。後ろ髪ひかれる思いで美奈代とはさよなら。なかなかうまくいかないものだ。
そろそろ日が西の山へと傾こうとするころ…。オレは毎度の事ながら序々に焦りの色が濃くなっていく。まずいな〜。神戸初日もドボンじゃシャレにならないどころか、早々に連載打ち切りということも充分にありうる。しかも神戸の滞在期間は二泊三日だ。背筋に冷たいものを感じつつ…またテレクラか〜?などと寒い事を考えていたが、神戸はテレクラ放火事件があったばかりの地である。縁起悪いことこの上無い。オマケにその場所は元町駅から徒歩三分にあり、事件の後がまだナマナマしく残っている。
と、頭を抱えそうになっているときである。花柄のシャツが実に色っぽいネーチャンとばっちり視線があってしまったのだ。
「あの〜…」一体どんな風に口説いたのかあまり記憶が定かではないが、十分後に二人はこ洒落たカフェバーにいた。娘の名はユキ、二十一歳の美容師である。
「彼氏とケンカして、最近別れたばかりなんですよ…」これはまさに降って湧いたような大チャンスである。
「そうなんだ…とりあえず今日は飲んで忘れたらどう?」
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