■ ナンパ地獄変(10)-4 |
「お茶でも飲まない?」
「奢ってくれるんならいいですよ」と言う結香(二十歳、派遣OL)は若干鈴木あみ似。ハートマーク入りのセーターはいただけないが、顔はまあまあ可愛い方である。しかしやはりそこはOLだけあって固い。フリーターや専門学校生と違って簡単に股を開きそうはなかった。こういう娘はさっさとリリースするに限るのだ。
結香と別れてから三分もしないうちにラルフのハットをかぶった学生風の娘をゲット。なんだよ…風邪引いてるときの方が普段より絶好調じゃんか。
「こんちは…学生?」
「いいえ、違いますよパチンコ屋に勤めてます」
「仕事はもう終わったの?、早いね」
「うん、今日は早番だったからね…」
「あのさ、よかったら食事でもしない(全然食欲ないけど)」
「これから彼氏と待ち合わせだから…」
なんだよ、早く言えよそういう大事なことはさ。結香と別れそろそろホテルへ戻るか…などと思い始めたころ市電に乗りそうな気配のOLとバッチリ目があった。
「お腹とかすいてない?」
「う〜ん、ちょっとすいたかな…っていうかあなた誰ですか?」いきなり声をかけられてややびっくりしたようだが、顔は笑っている。
「いや…ボクはボクですよ…」とわけのわからない受け答えにもケラケラと笑っている恵理子(二十四歳、OL)であった。
これは行けそうか。
とりあえず札幌初のまともな料理屋に入り乾杯。つってもオレは暖かいウーロン茶だけど。これ以上風邪をこじらせたくないし。
「いや札幌でナンパされたの生まれて初めてですよ」
「ウソっマジ…」そんなに札幌の男はおとなしいというのか。
「キャッチとかスカウトはしょっちゅうありますけどね」
「ふ〜ん」
「なんかホストっぽいですよね」
「こんな善良な男がホストに見えますか?」
「うん。見える見える〜」などとくだらない談笑は続いたが。アルコールも入ったし、あとはこいつをどうやってホテルまで連れ込んでやろうかと、頭の中はそればっかりだ。
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