■ ナンパ地獄変(10)-4 |
「ねえねえ、何やってんの?」
「何やってるって…べつに、買い物に来た帰りだよ」
「何を買ったの?」
「何にも買ってないよ」
「メシでも食わない?奢るけど…」この一言で好美(フリーター、二十歳)の瞳孔が光ったのをオレは見逃さなかった。
「マジ?実はお腹すいてたんだよね〜。モスでもいいかな」
「OK!」というわけでオレの滞在してるホテルから徒歩三分に位置するモスバーガーで夕食を共にする。余談だが焼肉ライスバーガーはいつ食ってもうまい。
好美とはなんだかんだいって夜中まで一緒にいた。もちろん彼女の肉体も存分に味わったのは言うまでもないが…。しかし日頃の寝不足と乾燥したホテルの部屋、そして一日にシャワーを何度も浴びるとどうなるか。当然頭では理解していたつもりだった。しかし…オレは風邪をひいた。(当たり前だ)
次の日目が覚めると喉と頭が痛い。やばいな。このままこじらせたらナンパどころじゃなくなる。仕方なく薬局で漢方薬の風邪薬を購入。これなら眠くもならない。本来なら暖かくして寝ていたいところだが、そうもいかないのが辛い。
ふらふらする頭をかかえナンパを開始。しかしこういうときに限って一発目からうまく行くから人生ってのはホントにわからない。二十一歳、美容師のかな子がいとも簡単に網にかかった。
「今日たまたまお休みだったから…」
「そうなんだ。じ、じゃあお昼ご飯でも一緒に食べようか…(うぅ〜うどんぐらいしか食べる気がしない)」というわけで、かな子とオレはホテル二階のレストランへ。食事中も二人は実にいい雰囲気である。その後はもう自然のなりゆきで部屋へ…。
しかし、ここまで来て事態は急変。キスを迫ると「ダメッ」と、頑ななまでの拒否にあってしまった。強引に行くことも出来ないではなかったが、体調がすぐれないということもあり、ここはおとなしく引き下がった。
まっ実際こんなものよ。疲れたので二時間ほど仮眠をとる。薬を飲み休養をとったことでカラダの調子もだいぶよくなった。すでに時刻は午後四時を過ぎていたが再度出撃する。雪こそ降っていないものの外はかなり気温が低い。しかもまだ五時前だというのに真っ暗じゃないか…。道民にとっては十一月の寒さなど屁でもないかもしれないが、オレにしてみたら真冬並みの寒さである。思わずジャケットの襟を立てる。
ロビンソン近くの交差点ですれ違ったOLに声をかけると、これまたすんなりとOKが出た。なんだ北海道民って実にフレンドリーじゃないか。
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