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  ナンパ地獄変(14)-1
ナンパ地獄編 栃木県・宇都宮



この季節一番の大敵はやっぱり花粉症だわな。当然鼻のかみ過ぎで鼻腔の粘膜は傷つき、鼻血が出やすくなってる、おまけに鼻の下の部分がヒリヒリして赤くなるという情けなさ。薬を飲めば眠くなるし、喉は乾くし最悪の状態だ。いやはや、これがナンパにも影響を及ぼさなきゃいいんだけど。

 今回の舞台は宇都宮である。ようするに栃木県の県庁所在地で、ギョーザの街として有名な場所なのである。なにしろギョーザの形をした像があるってんだかから、なんか卑猥だよなギョーザの像ってさ。栃木は日光とか鬼怒川とか結構有名な観光地があるものの繁華街として認知できるような場所は皆無だ。そのなかでも唯一人口密度の高いのがこの宇都宮ってわけ。
 新幹線からホームに一歩降り立つと、さっ寒む…。なんて寒いんだ。暦は三月、季節はもうとっくに春だっちゅうにこの寒さはいったいなんなんだ。とりあえず荷物をホテルに置き、街の散策を開始する。
 何でも栃木は東京より気温が約六℃も低いらしい。知らなかったな〜。もうちっと暖かい地方にしたかったぜ。と嘆いたところで後のカーニバル。皮ジャンの襟を立てつつ東武宇都宮駅周辺をうろうろする。この辺りはパルコや東武デパートがあってヤングも多そうである。さっそく一人目のターゲットを発見、背後から声をかける。
「すいません。あの…宇都宮で一番おいしいギョーザの店を知りたいんですけど」
「はあ?? 」
「いや、あのボク、実は東京からギョーザ専門誌の取材で来てるんですよ」
「うっそー」
「いやホントですよ」完全なウソ話ではあるが、そのウソ臭さが逆に好印象になることもある。彼女(舞子21歳、OL)はこころよくサ店に付き合ってくれた。しかし
好印象を与えただけでナンパが成立するほど現実は甘くはない。「このあと彼氏と待ち合わせなんですよ〜」の一言でアッサリと玉砕。次だ、次っ。
 大通りをJR駅方面に歩いていると丸顔の女子大生風と目が合い思わず声をかける。

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