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  ナンパ地獄変(18)-5
深く考えてちゃナンパもできないので、気を取り直してまずはアメ村方面にでも行ってみるか。
 アメ村の中心である三角公園付近は、週末とあってかなりの人出だ。黒人のブラザーたちが陽気に話しかけてくるとこなんざ、原宿顔負けだね。しかし、確かにヤングの数はキタの数倍はいるのだが、いかんせん、ほとんどが友達もしくは彼氏連れである。とても声はかけられん。まいったな…暑いし。
 朝から何も食べていなかったことを思い出し、一旦ベトナム風カフェで休む。サンドイッチとウーロン茶。ふ〜。危うく熱中症で倒れるところだった。一息入れて元気が出たところで今度は心斎橋方面へ。
 午後1時30分、やっと一人めの当たりが出た。
「なんか研ナオコに似てるよね」
「えっそうですか…」
「目が細いのと、鼻の穴がデカいとこなんかそっくり」
「ひどい…」というわけで、難波には美容室に髪を切りに来たというチアキ(二十二歳、OL)とはお茶だけ飲んでバイバイ。
 なんかお茶飲んでばかりだな…と思いつつも暑いしダルイしで、カラダも言うこと効かなくなっているしな。そんなとき軽い気持ちで声をかけた圭子(二十三歳 出版関係)とは仕事の話しで盛りあがった。
「へ〜圭子ちゃんは出版社なの」
「そうなんですよ」
「今中さんは? 」
「いや、俺はライター…、じゃあなくって、あのライターを作ってる会社なんだけど。ハハハ」変にライターだなんて言って、詮索されてもまずいし、ここは黙ってた方が無難だろ。しかし圭子は近くで見るとなかなかの巨乳の持ち主で、そのEカップは実に美味しそうである。
「よかったら(俺の泊まってるホテルで)お茶でもしない?」
「あっ、いいですね。でもこのあとまだ仕事なんですよ」
「えっなんの?」
「それが空手の大会の取材なんですけど…」
「かっカラテ?」手刀を切る真似をする。
「ええ、そうですその空手です。あっあたしも空手の段を持ってるんですよ」おいおいマジかよ。こんな娘にもしホテルで変な真似でもしようものなら、ぶっとばされないとも限らないぞ。いかん退散だ。
 なんとも同業者というのはやりにくい。オマケに空手の有段者とあっては、後の展開次第ではシャレにならないことが待ってそうだ。クワバラクワバラ。
 夕方になり若干風も出てきたことでだいぶ過ごしやすくはなってきた。しかしいくら声をかけても誘いに乗ってくる娘は現れず、気ばかり焦る。この調子だとまたテレクラ頼りになる可能性が出てきたぞ。いかんな。
 そんなときアメ村方向から買い物袋をもったコギャルが歩いて来るのを発見、声をかける。
「なにそんなに買ったの? 」
「え〜、お兄さんホストですか? 」
「えっ何言ってんだよ、ホストじゃないよ」
「あたしホストって好きなんですよ」おいおいマジでそんなこと言ってんの。
「でもアタシお金もってへんよ」

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