「よろしくお願いします」
とY子さん。それじゃ一緒にシャワーを浴びましょうかといいうことになった。既にお風呂には入ったと言ったのだが、決まりなので一緒に入ってくれと言われた。お風呂では殿様気分である。体の隅々までを洗ってくれた。
本当ならばこちらからいろいろちょっかいを出したくなる女性なのだが、今回はこちらが受身ということでそれを控えてしまった。これもちょっと行けないところだった。Y子さんはもともとMなので、女王様には慣れておらず、「どうしましょうか」と聞いてくる。こちらも風俗はさほどの経験者ではないのでよくわからない。そんな話をうだうだしていて時間だけが過ぎていく。これまで自分が風俗を苦手だと思っていた理由がまたひとつも浮き彫りになった。この時間である。女の子となっていて時間制限があるのが苦手なのだ。相手との空気をもみほぐしてそれからセックスに至るというのがこれまでの自分のパターンだったのだけれども風俗はそうではない。いきなり臨戦態勢なのだ。それを女の子もそうだし客である男もそうでなくてはならないのだろう。話ばかりをしているとさえぎ
られ、彼女は作業に移ろうとする。
「とにかく風俗で射精をしたことがないので、今回は射精をしたいと思うんだけど…」
という話をする。それを受けて彼女は僕を攻め始めた。ディープキスや耳の後ろを舐められたりして、それはそれで感じるのだけれども自分から女の子の体を触りたいと思う気持ちはあるのだがどうしてもブレーキがかかってしまう。金を払っているのだからいいのだろうけれども、どうしてもそれができないのだ。自分自身の心の中の問題なのかもしれない。
とはいえさすがに相手はプロだ。発車寸前まで勃起させられることになった。
ところが、そこで急にさっきの店長やら知り合いのD子の顔が浮かんでくる。まるでそばで見られているような感じがした。そのことをY子さんに言うと、
「大丈夫気にしないで、思いっきりイッテ」
という言葉に思わず発射しそうになる。しかしその瞬間に彼女の持っていた携帯電話のベルが鳴った。急に自分のチンポが萎えるのが分かった。
「電話、出てくださいよ」
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