■マグロの独白(2)-1 |
マグロのところに来た女が全員マグロとセックスしているかというと、そうではないらしい。やはり、できないことだってあるのである。今回はそんな悲しい物語。いったいどんな女がやってきて、どうフラレてしまったのだろうか…。
今から7年も前のこと、日本で初めて出版された女性向けエロ本『マリリン』という雑誌にコラムを書いていた。実は、この雑誌の編集長こそ、今この『Mpeg大百科』を作っているスーさんなのだ。
この連載はオレの仕事の方向性を決めたと言ってもいい。その後のコラムに電話番号を掲載し、読者とのからみでで原稿を書いていくという形がスタートしたものでもあった。
その『マリリン』のなかで<フードセックスのすすめ>という文章を書いた。見たことも実践したこともなかったのだけれど、ひょとしたら、こういう世界ってあるんじゃないかって思って想像で書いたのだ。当時『ナイン・ハーフ』という映画が流行っていて、それに出てくる食べ物にまみれてのセックスっていうものいいんじゃないの、っていうかんんじでいかにも自分が体験したように書いた。ところが、それを読んで、オレのところに連絡をくれた女の子がいた。東京近郊のM市に住むマコちゃんである。電話をくれた彼女は
「フードセックスって、私もそれやってるよ」
と言うのだ。オレが書いた文章はあくまで想像のもので、本当にそれを実践している人がいるというのは少々驚きだった。オレは、あの文章は自分が体験したわけではなく、想像で書いたことを白状し、彼女に「どんなふうにやっているの?」と聞いた。マコちゃんは想像で書いたというオレの言葉に驚きながらも
「マグロさんが書いていたのと同じようなものなんだけど」
と言う。オレが書いた中身と言えば、ペニスにジャムを塗ってなめてもらったり、その逆に女の子の体に生クリームを塗ってなめるというものだった。
「へえ、オレも体験してみたいな」
「いいよ、じゃマグロはM市まで来てくれる?」
と言うので、オレはすぐに行くと返事をした。