■マグロの独白(5)-1 |
先生と呼ばれるほどの…
マグロのところに女性ライターからの電話も多い。なかにはマグロ宅に来てしまう人もいるのだ。というわけで、今回はマグロ宅を訪れた若い女性ライターの話。いったいどんなことになったのだろうか!?
まだまだ駆け出しライターのつもりでいたが、気がついてみれば41歳。25の頃からやっているからライター生活も今年で16年になる。もはや堂々たる中年ライターである。だから、若いライターの方からはときに「マグロ先生」と呼ばれてしまうこともある。おいおい、マグロに「先生」をつけちゃおかしいだろうと思うのだが、先方は
「これまで読んであこがれていたので、先生は先生です」
などと言われる。いや、照れるなぁ。しかし、「マグロ先生」という呼び方は偉いんだか偉くないんだか、よくわからないぞ。なんか馬鹿にされているような気もするが、実際のところ馬鹿だからいいんだとも思ったりする。
で、先日のこと、ある女性ライターから電話がかかってきた。
「あの、私もライターやっているんですけどいろいろお話とかうかがっていいですか」
と言う。なんでも、雑誌などの記事を書いているのだが、もっと体験取材などをやって署名の原稿を書きたいのだという。男ならお断りだが女なので
「写真撮らせてくれるならいいよ」
と気楽に応じてしまった。というわけで、電話があったその2時間後、彼女はもうオレの仕事場兼住居にいた。ライターになりたいという女はたいていの場合、あまり美人ではない。美人ならわざわざこんなツライ仕事を選ばなくても他にいくらでもいい仕事があるのであろう。しかし、今回やってきた女ライターはそこそこ可愛い。なんだかラッキーな気分である。「Kです」と言い名刺を差し出した女性は小柄で色白だった。
「まあ、お座りください」
と食事と応接兼用のテーブルに彼女を座らせると彼女はコージーコーナーで買ってきたケーキを差し出した。おお、なんて気の利く女性なんだ。すぐにコーヒーを入れる。
で、Kさんはライターをはじめて1年。現在は編集プロダクションに在籍しており、女性誌でお店の取材をしたり、読者ページを担当しているのだという。
「へえ、でもあんまり給料とか良くないでしょ、仕事量の割に」
と言うとKさんはこくりとうなずく。