■マグロの独白(9)-1 |
女のコの誕生日に手錠をプレゼント
セックスに結びつく女のコへのプレゼントは何かを考えてみた。バイブレーターというのもいいが、あまりにも直接的だし、なんだかオヤジっぽい。そこで、ちょっとしたSMグッズなんてどうだろうか。オレはこれでけっこう成功している。
女のコを口説き落とす達人というのがいる。なかでにはその戦歴やテクニックを公開しているライターもいる。先日、そんなライターのひとりに会った。彼によればナンパの鉄則の第一は金をかけないということらしい。豪華なプレゼントなどに金をかけるのはナンパ道からはハズれるらしい。そういう意味ではオレ自身はもともと金がないので女のコを金で買うことはおろか、なかなかプレゼントも渡せない。そこで、プレゼントというと金がかからないものということになる。たとえば、あるライターの女のコへの誕生日プレゼントにオレは労働を提供したことがある。
N子の誕生日直前、オレは彼女を口説いていた。しかし、N子は「それどころじゃないのよ、締め切りがいっぱいで身動きができないの」と言う。んじゃ、オレが行って手伝ってやるよ。と、オレはノートパソコンを彼女の仕事場兼自宅に持っていき、原稿を書いてやった。もちろん感謝され、仕事をすっかり片付けた後でエッチできたのは言うまでもない。そのほかにも洗濯をしに行ったり、部屋を掃除したり、パソコンのセットアップなどいろいろな労働奉仕をしたが、安いプレゼントというケースもあった。それは、手錠である。やはり誕生日のプレゼントだった。女子大生のS美ちゃんはもともと少し変わった女のコで、美術系の大学に通っていたのだが、何にでも好奇心を持つ女性だ。そこで、「手錠でもプレゼントしようか」と言ったらなんだかめちゃくちゃ興味を示したので、オレは本当に手錠をプレゼントすることにしたのだ。手錠といっても高くはない。大人のおもちゃ屋さんなら3千円円程度で買うことができる。安いからといってまるでオモチャというわけではなく、ちゃんとした金属でずしりと思いのだ。もちろん、ちゃんと鍵も付属していてこれがなければ、開けることはできない。
というわけで、喜んでいたのでいたので、プレゼントすることにしたのだ。で、ひとり暮らしをしているS美ちゃんお家に行った。そうそう、差し入れにケンタッキーフライドチキンとワインを持って。
で、誕生日のプレゼントをするとき、目をうぶってと言って、彼女に手錠をガチャリ。
「えーっ、電話で手錠って言ってたけど、本当だったのね」
と喜ぶS美。しばらくガチャガチャともてあそんでいたS美が
「あれ、これどうやってはずすの?」
と聞く。鍵があるんだよ、あれ、と探すふりを少しして
「あ、ごめん。持ってくるの忘れちゃった」