■マグロの独白(10)-1 |
全身をタイツで包むといった何が面白いのか
全身タイツというフェチのジャンルがある。頭からつま先までをすっぽりとタイツで覆うこのフェチはいったいどんな感覚なんだろうか。なんとマグロ自身がタイツに身を包み体験取材をしてみた。
アリスという女みたいな名前の男
【全身タイツ】というフェチのジャンルをご存知だろうか。かなり古くは『マグマ大使』の"人間モドキ"、少し古くて『仮面ライダー』の"ショッカー"。あるいは、とんねるずの番組でやっていた「もじもじくん」と言えばいいのだろうか。とにかく全身をタイツで包んでいる状態のことだ。バラエティ番組での全身タイツは顔の部分だけを出しているのだけれど、フェチの人たちの全身タイツは顔まですっぽりと覆っている。さらに全身タイツのことを略して"ゼンタイ"と呼ぶのだ。さて、これらの基本を押さえて、本稿をお読みいただきたい。ただ、他のフェチも同様なんだけれど、なんでこういうものがいいと思うようになったかという質問は不毛である。それは、普通の男にいつから、どんなきっかけで女が好きになったかを聞くのと同じことだ。もちろん、スイッチが入ったきっかけのようなものはあるのかもしれないが、そこに理由はないのである。
多くのゼンタイマニアはテレビを見ていて、スイッチが入ったという。たぶん多くの子供は同じものを見ているはずで、全員がそれをきっかけにフェチになるわけではない。ちなみに、ゼンタイについて多くを教えてくれた男性、アリスによれば「子供のころ見た歯磨きのコマーシャルで女性が白い全身タイツを着て、歯の形に並んでいたんですよね。たぶんそれが最初だと思うんですよ」と言った。
僕自身、全身タイツというものをはじめて見たのは、デパートメントHという多くのフェチが集うクラブパーティでのことだった。最初に見たときは、やはりびっくりした。顔まで覆っているため、暗いクラブの場所ではまるでのっぺらぼうに見えたのだ。それがアリスだった。
もちろん、僕自身そういうフェチがあるわけではないので、それを見てなんとも思わなかったが、ネタとしてはおもしろいなと思った。そして、何度かアリスを取材したのである。
それから少し時が流れて、僕はゼンタイビデオの撮影現場を取材する機会を得た。それが去年の初夏である。AVなどでも使っているスタジオで撮影は行われていた。監督であり、ビデオメーカーの社長は渡辺さんという女性だった。インディーズのしかもフェチビデオである。もちろん取材は僕だけだった。(*)
このとき僕は初めて女性がゼンタイを着用する姿を生で見たのだ。もちろんそれまでは写真やビデオでは見たことがあったのだが、それとはまったく違う質感が目の前にあった。撮影の合間に思わず女優さんに「さわってもいいですか」と肩のあたりをさわらせて貰った。これがなんともよかったのだ。