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 『ネタじゃなかった 本気で面接したのだ』(1)

 あれは、冬になる前のコトだった。25歳になって、ウォーター系並びに風系で面接をしても必ずしも歓迎されない年齢になったと痛感する。当然長い不景気風も影響している。「あぁ、どうしよ…。“もう体張りたくない”と吐く前に“もう体張らせてもらえない”と痛感する日が近いんじゃないかなあ…」私の性格上そういった考えを一旦持つと、「自分なんて必要とされなくなる日がいつ来るかわからない。働かなきゃ、面接行かなきゃ」自分が世の中から不必要とされることに不安を感じるタイプのワーカーホリックゆえの考えと病気である。なので、古今さまざまな面接を受け働いたり働かせてもらえなかったりの繰り返しで今日に至る。

 「ついにこの看板に向かって突撃する日がきたか」と良くも悪くも心ときめかせながら携帯をプッシュする。10代の頃は、向かいのピンクス(現エルス)というランパブに勤めていたので、渋谷のど真ん中にそびえ立つ『入浴料5千円』と書いてある個室サウナと言われるものがいつもメチャメチャ気になっていた。交番のまん前にあるソープランドって?『OL、学生、主婦、素人歓迎』と書いてあるが、本当にOLでもいいのかなあ?残業も考慮してくれるかなあ?私はライターのクセに広告の活字を未だに真に受ける人なので気になってしょうがなかった。

 なぜ、このお店に興味が沸いてしょうがなかったかというと、長きに渡って予備知識が多かったからなのだ。10代の頃のその店は昔ならではの駅前ソープ仕様っぽい外装で、よくボーイやマネージャーと「あの雰囲気じゃ若い姉ちゃんいねーよ。お前、働いたらナンバー1じゃん?行けばー」とふざけてよく言われたものだ。最近の話だと、先輩ライターをはじめ近所のバーの若いバーテン達が、「50分で1万8千円だったら下手なヘルスより全然いいよ」「あそこの遅番案外可愛いコいるよ」「最初指名できないけど、“若いコ”って希望するとちゃんとつけてくれるよ」 とかなり良い感想ばかりだったのだ。

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