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 第3回 レディボーイ in BANGKOK 山崎つかさ(2)

 幼いころから自分のことを『私』としか呼んだことがない彼女は、中学一年生になってお小遣いでホルモン注射を打つようになる。女の子になりたい一心で。そして中学3年生の夏休みにはこつこつ貯めたお金で去勢手術を受ける。家族に内緒で。こんな決断力と行動力を中学3年生の私は持っていたかなぁと、だからこそ彼女のとった行動に感心しきりなのであった。
 その入院が必要な去勢手術を1日で退院してしまった彼女はその後、体調を崩し寝たきりとなる。ある日起きたらシーツが血だらけになっていた。それを見た母親と姉は絶句。

「それはもうびっくりしますよね。それでどういうことかを説明せざるをえなくなってしまったんですよ。でも自分の生き方を認めてもらうというか、わかってもらわなくてはいけないと感じていたので・・・・・・。
 そこから3日間くらい、家族全員が何もしゃべらなかったです」

 すでに何度も取材を受けてきている彼女。何度も同じことを話してきたのだろう。話す言葉によどみはない。

「私の話を聞いてしょうがないとかそういう気持ちも半ば両親にはあったと思います。だから何回も聞かれました『それでいいのか。後悔はしないのか』って。ただ、私自身、それでいいというよりは、私が私らしく生きていける道は性転換しかないと思っていました」

 とにかく女の子になりたいという考えしかなかった当時の彼女。そのために男性としての機能を一度もはたさずにきた。すでにホルモン剤を打っていたので男性器は赤ちゃんのようになっていた。いわゆる『朝立ち』の経験もしていない。排泄機能のみのおちんちん。
 話は続く。

「手術にあたって何回も何回も家族全員で話し合いました。そして最後は両親も『お前は娘だ』ということで認めてもらいました。私が聞いている話だと、三百万円ぐらい手術費用に使ったと聞いています」

堅い信念、岩をも通す。余談だが、当時は性転換手術に際して、カウンセリングも何も行われなかったということだ。それはそれですごい。

「親戚とかになんで手術を許したのかって両親が言われたので申し訳ないっていうより、あわせる顔がなかったですよね。そういう風に言われる父親と母親を私は守ることができないし、かといって言う人を非難することもできない。だから黙ってこらえてくれている父親と母親に頭が上がらないですね、私は」

『こらえてくれている』と、現在形で早口にいっきに語った彼女。

「タイは自由、すべてにおいて自由」

 タイにハマる日本人はみんな同じことを口にする。彼女もそう言い切った。
「あとはインスピレーション! ここに住みたいっていうインスピレーションでした」

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