言葉にしてしまうと、伝えたい気持ちが空回りして軽くくさく嘘っぽく聞こえてしまうときがある。照れ屋である人ほど、よく考え込む人ほど、言葉を飲み込むことが多い。強がった発言は本音の裏返し、刹那の色濃い発言は本心を隠すため。
　初めての取材のとき、彼女はどこか上の空といった気のない返事をするか、どさりどさりと言葉を投げ出すことのほうが多かった。そのくせ何度か送られてきた手紙には、これが同じ人物!?　とびっくりするぐらい真摯な態度で自分の気持ちを綴ってきた。とにかくギャップの激しい人だ。ハタチという若さ特有の不器用さのせい？　とも思ったけど、それはたぶん違うだろう。
　ピンサロ→ソープ→ヘルスを経て性感マッサージに勤務する彼女は二十歳。赤のバスケットボールのＴシャツにリメイクのスカートをはいた彼女は、チラリと見える八重歯のかわいい小さな女性だった。ノーメイクであらわれた彼女は年齢よりも幼く見えた。

飲み屋がピンサロ？

　彼女の風俗デビューは十八歳。高校を中退し、バイトもせずプー太郎をしていたとき友人の兄に「飲み屋のバイト」と言われ紹介されたのがじつはピンクサロンだった。
「中退したのは一年生のおわり。学校始まって以来の問題児って言われてて。べつに悪いことをしていたわけじゃないけど、要領悪くて見つかってて」
　風俗への抵抗は「もちろんあった」と語る。

［前のページへ］　［竹野内実花TOPへ］　［次のページへ］