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 第10回 体を売る青年 ―僕の仕事はゴーゴーボーイ―(2)


「今回のインタビューは本当のことを話してよ」

 Mには3年まえにもインタビューに応じてもらった。しかし私がタイ語を覚えぽつぽつと会話をしていくうちに、本当のことが何ひとつ語られてなかったインタビューであることに気がついた。
 ニヤリと笑う。「ぜったい僕だってわからないように書いてよ」。同じ店に勤務するほかのボーイが『彼は売れっ子だよ』という言葉の通り、タイ人のわりに高い身長と、鍛えることによって引き締まった体、健康的な褐色の肌が、男女関係なしにとてもセクシーにうつる。
「趣味は体を動かすこと。サッカーしたりジムに行ったり」
 そしてまたニヤリと笑った。
「あと、ファッキング(笑)」

すべてはお金のため

「この仕事を始めて4年目。2年半前におじのいるベルギーに出稼ぎに行ったこともあるけど、寒いし天気が悪いし好きになれなくて3か月で帰ってきた。で、またゴーゴーに戻った」

 ――ゴーゴーボーイを知らない人のために仕事内容を教えてくれる?
「ファックファックファック(笑)。あとはカスタマーの話し相手になったり食事をしたりお酒を飲んだり。バンコクやパタヤのガイドをやったりもする。カスタマーはほとんどゲイだけど、時々女性もいるよ」

 ――どうしてゴーゴーボーイを始めたの?
「お金のため。高校を出てバンコクの工場で働き始めたんだけど、給料が少なくて1年で田舎に戻った。そのあと家の仕事を手伝って20歳から22歳になるまで兵役に行ってたんだ。兵役を終えて仕事を探しているときに友達から、『グッドジョブがあるよ。グッドマネーだよ』と言われ紹介されたのがこの仕事だった」

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