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一人目の女のコは用事があるはずなのに、部屋で何をするわけでもなく、まだまったりを決め込んでいる。そりゃ、いつもと比べて会話にキレがないのは認める。しかし僕って、こんなにモテなかったっけ? 40年間で培ってきたモテ術をすべて否定された気分にさえなってくる。そんなアイデンティティを崩壊させるためにここに来たのではない。帰ろうか……。あとに残っているコはどうも好みに会わないし……。
しかし、最後にあと一度だけチャレンジしてみることにした。怠惰な雰囲気が漂うこの空間の中でも一番ヤル気なさそうなオーラを醸し出している女のコを攻めてみることにした。ヤル気に反して、容姿はけっこうイケてたりする。
「はじめましてー!」
個室に入ってくるなり、その彼女は豹変した。とてもハキハキとしたしゃべり口調で、付けている装飾品は下品過ぎもなく、しかし高価な物ばかりの、茶髪に似合わぬお嬢様風だった。22歳のフリーター。マスコミを志望しているらしく、ここにはヒマつぶしも兼ねた人間ウオッチングのため、たまに足を運ぶんだそうだ。
初めて会話もはずみ、5千円の「時給」で外に連れ出すことに成功した。
すぐ近くにある「ダイニングバー」で食事をする。遠慮してるのか、ほとんどドリンクも食事も頼まない。僕一人だけ白のグラスワインで悪酔いしてしまい、舌もなめらかに滑り出す。
彼女から色々な「TuBa」情報を聞くことができた。
彼女の見立てによると80%くらいの女のコが援交目当てであるらしい。これで納得ができた。そんな彼女たちにとって、僕の煮え切らない態度は時間のムダでしかなかったわけだ。もっと明確に、個室の段階で目的を打ち出すのが、「TuBa」での礼儀であるそうだ。
時給とはいっても、相手が気に入ってさえくれたら1時間にはこだわることもないらしい。結局、2時間くらいそれなりに盛り上がって、ケータイの番号を交換し合って、僕たちはバーの前で別れた。
当然の事ながら彼女から電話はない。こちらからかけるほどその場が盛り上がったとも思わないので、とりあえずはほったらかしにしている。
「柿崎マモルが『TuBa』に来てた」
と、2ちゃんねるに書かれていることを知ったのはその1週間ほど後だった。
清潔度:★★★★★
ルックス度:運次第
タッチ度:なし
トーク度:★★
お値段度:★
疑似恋愛度:★★
店員の態度:★★★★★
やみつき度:人による
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