野望の帝国 野望の帝国

風俗情報

 「新しモノ好き」(3)-3

 男客はすでに3人待機していた。サラリーマンスーツをこなれて着こなした中年オヤジ2人と、もしかしたら同業者?って感じの職業&年齢不詳の私服のアンチン。女のコは7人待機していて、
「じっくり品定めしていいんだよ」
 と、お店のオッサンが、気さくに勧めてくれるが、男客3人はすでに現状の品定めは済んだ模様で、新しい獲物が店に入ってくるのを、インターネットをいじるフリをしたり、実話誌を読むフリをしたりしながら、気もそぞろに待ちかまえている。そんな状況で店内をうろつき品定めするのはかなり根性がいる。なるべく目立たない端の席について、来ている女のコたちの、透明プラチックで一枚一枚に整理されたプロフィール表を眺めてみる。
 女のコの写真は、画質が甘くて、このコがカワイイかどうかをコレだけで判断するのは難しい。出身、血液型、星座、身長&スリーサーイズ、現職など、基本的なプロフィールの他に、マンガ雑誌のアンケートのように、どうでも良いアンケートがズラリ並んでいて、適当な答えが書かれている。
 だが、その中で二つ、注目すべき項目が埋もれている。
「援助交際に興味があるか?」「ある・少しある・わからない」
 そして、20項目以上あるデートしたい場所に「ラブホテル」が! なるほど……、ココで一番重要な相手の動向を見極めるわけだ。
 とりあえず、「援助交際に興味ある」に○印をつけている貞操観念のユルそうな女のコ(2人いました)を攻めてみることにする。そういう時は、自分の番号、年齢、簡単な自己アピール、一言メッセージ(「〜に行きたい」みたいな。ここに「SEXがしたい」「援交がしたい」などと書くのは一応御法度)、そして1時間分の彼女たちに払う「時給」を記したメッセージカードと2千円を受付に渡し、女のコの手元に届けてもらうわけだ。
 やはりパーテーションで仕切られた、3席ほどある個室に導かれ、まもなく指名した女のコが入ってくる。店内は誰一人話をしていない。シーンとした空間に僕の緊張でこわばった「こんにわ〜!」が、イヤな感じでこだまする。こんな環境で、あーだこーだと交渉をするのか……?針のむしろ状態だ。
 相手は27歳のOL。異様な長い黒髪に変態の香りを感じ取るが、いかんせん会話が噛み合わない。他の男女に聞かれてるっぽいので、どうにもテンションが上がらないのである。
とにかく早くこの場から脱出したかった。
「これからどう?」
と、早い段階で振ってみる。しかし、返ってきたのは、
「ごめんなさい。今日は今から用事があるんで……」という、けんもほろろな答えでしかなかった。
二人目に攻めた女のコも結果は同様だった。

[前のページへ] [柿崎マモルTOPへ] [次のページへ]


Copyright(c) 2003-2004 YABOU NO TEIKOKU All rights reserved.