■『浅草橋』(1) |
●ジャンル 性感ヘルス
●場所 浅草橋
●料金 60分16000円
東京在住でも浅草橋という街にはあまり縁がない人の方が多いだろう。問屋街として、また和人形の街としても知られているものの、普通はあまり行く機会はないはずだ。
しかし、僕はこの街に来るのは数回目だ。それは、とある風俗店を訪れるために、だった。もともと浅草橋は、江戸時代から栄えた繁華街であり、かつては料亭が立ち並び、芸者遊びが盛んだったというが、現在ではそんな色気のかけらもなく、風俗店の看板など全く見当たらない。しかし、この街には二十年以上も営業している超老舗のマンションヘルスがあるのだ。「P」という名のその店の開店は1982年で当時は日本で二番目。もちろん現存するマンションヘルスとしては最古の店である。そして今ではすっかり一般化したアナル舐めサービスを打ち出したのも、この店が最初である。
僕は、風俗ライターとして駆け出しだった十年近く前に、この店を取材したことがある。そして一年ほど前にも、この店を訪れた。僕にとっての浅草橋は、「P」のある街、ということになる。
インターネットの「P」のサイトを調べると、正午から営業と書いてあったので、12時半すぎにJRの浅草橋駅から電話を入れる。
「ご案内できるのが一時半からになっちゃうんですが…」
しかたがない。その時間に予約を入れて、とりあえず昼飯を食べておくことにする。浅草橋はオフィス街でもあるため、飲食店は充実している。ガード下にずらりと飲み屋や食べ物屋が並んでいる様は、新橋あたりに近い。
美味しそうな店はたくさんあったのだが、天ぷらやらハムやらが乗った「ちらしもどき」なるメニューに惹かれて、居酒屋「くいものや六代目」に入る。人気がある店なのかお目当ての「ちらしもどき」を筆頭に半分ほどの品が売り切れだった。どうも今日は出鼻をくじかれる日だな。品数の多さが魅力の「六代目弁当」を注文。コロッケに焼サバ、鳥のから揚げ、タコの刺身など、ボリュームもあって、これはこれで正解だった。かけ放題のふりかけが嬉しい。