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風俗情報

 『御徒町』(2)

「ご指名はございますか?」

「いえ、はじめてなので」

「うちは本番ないんですけど、よろしいですか」

「あ、はい」

 料金の説明をされる。受け付けで4200円、中で女の子に5000円の計9200円で50分。プレイ時間から考えれば、ヘルスよりも割安だ。料金を払うと待合室に通される。先客が一名。還暦はゆうに過ぎているであろうお年寄り。どこか粋を感じさせる職人風。浅草あたりの人なのかな、と勝手に想像する。
 待合室は意外なくらいにモダンなフローリング。壁に作りつけのラックには大型テレビがあり、「ごきげんよう」を映し出していた。
意外なくらいモダンな待合室。最近改装したのか?

「回数券を販売致しております。ご利用下さい」の貼り紙があった。3枚綴りで10000円、5枚綴りで16000円。入浴料金だけということか。回数券があるあたり、やはり常連さんのための店なのだな、と実感する。上野〜御徒町エリアでも、おのぼりさん相手中心ではないらしい。

回数券といっても3回、5回分というのがリーズナブル。

 5分も待たずにご案内。現れたキャミソール姿の女性は、ううむ、やはり予想を裏切るものではなかった。恐らく40代、色黒、小太り。人妻というよりは、オバサンという言葉が似合うタイプだ。しかし、まぁ、ここは駅前ソープだ。この程度は初めから覚悟していた。

「こんにちわー。こちらです」

女性は特に名乗らなかったが、胸の名札にMと書かれていた。Mさんに案内されるままにカーテンをくぐり、階段を昇る。こじんまりした店内は、確かに古そうだが、手入れが行き届いているせいか汚らしい印象はない。通された個室も同じ印象だった。四畳半ほどの狭さで、半分が浴室スペース、半分がベッドのスペース。一人入るのがやっとというコンパクトな浴槽、スケベ椅子、サウナ器はおそろいの金ラメ。昭和の香りは濃厚だが、掃除はきちんとされている。

「学校の帰り?」

Mさんが聞いてくる。

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