「え、いやだなぁ。僕、もう36歳のオッサンですよ」
若く見られるが嬉しくないといえばウソになるけれど、小学生の子供がいるのに学生扱いされるのは、ちょっと複雑な気持ちだ。
「あら、ごめんね。でもここだと30代でも若い方なのよ」
「やっぱりお客さんの年齢層、高いの?」
「そうね。40、50、60、70ってとこね。死んじゃったらどうしよう、みたいなお客さんもいるよ」
Mさんは、何度も「私はもうおばあちゃんだから」と口にした。オバサンではあるけれど、まだおばあちゃんには早いでしょう、とも思ったが、18歳の娘がいるという。詳しいことは教えてくれなかったが、もしかしたら孫までいるのかもしれない。
Mさんはサクサクと服を脱いでいく。Eカップぐらいの巨乳ではあるだろうが、かなり垂れた胸。三段腹。大きな尻。普通だったら、勘弁してほしいと思うような肉体かもしれないが、全国の風俗街で様々な対戦を潜り抜けてきた僕には、この程度なら、全然OKだ。さすがにストライクゾーンとは言えないが、Mさん、とりあえず性格はよさそうだし。
全裸になってスケベイスに座らされる。Mさんが丁寧に洗ってくれる。股間を洗われてもさすがにピクリともしなかったが。
「お兄さん、因幡晃に似てるね」
「え、誰、それ?」
「フォーク歌手の人で…、この間、コンサートいったのよ」
あ、わかった。しかし、ヒゲでサングラスで長髪の人ではなかっただろうか? そうした部分の印象しかないので、顔自体がどんな顔だったのかはわからない。しかし、「因幡晃に似ている」というのは初めて言われた。嬉しくもないし、イヤでもない。と、いうかどう反応したものか。いずれにせよ、Mさんの年齢ならではのたとえだなぁ。
ざぶりと浴槽につかる。ぬるめのお湯。真っ昼間からお風呂に入るのは気持ちがいい。これはソープならではの魅力だ。歯ブラシを渡されて、モゴモゴ歯を磨く。なにしろ僕一人でもいっぱいになってしまうような小さな浴槽だから、Mさんが一緒に入るというようなことはない。もちろん椅子洗いだのマットプレイもない。この後はすぐにベッドプレイだ。
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