■第2回 谷町9丁目『モーニング娘』(1) |
☆谷町9丁目『モーニング娘』平成16年10月のある日、私の携帯が鳴り響いた。東京の『ビッグマウス社』のライターの安納氏からの電話だ。用件は『週刊アサヒ芸能』の取材で、大阪の風俗店を何軒か紹介して欲しいとの事。私自身は、風俗店のコーディネートをしているという立場から、このての内容の依頼は非常にオイシイ!まさに願ったり叶ったり!勿論、安易に彼の要請を受け入れる事にした。ところが、取材対象の店を選考していく内に重要な事に気付いてしまった。ネタとして取り上げるに値する、面白い企画やコンセプトを持ち合わせているお店って、意外と少ないのです。当たり前だが、読者が感心を示さない記事を作っても意味が無い。結果、風俗誌の編集者のしんどさを実感する事に・・・・・。
皆さんは、風俗情報雑誌等の取材記事を読んで見て、「この店、面白そうだし一度行ってみよう!」と足を運んだものの、実際には全く面白くなく、大きく期待を裏切られたという経験は有りませんか?
風俗が大好きな男性であれば少なくとも一度は、この様な経験をしている事でしょう。確かに、記事や写真等では担当してくれる嬢の接客態度や性格等は伝わる訳も無く、当然アタリハズレは有る。
しかし、それ以上に雑誌社のライターや編集者が、少々オーバー気味に記事を書いているのも原因の一つだろう。如何に、ごく普通の店舗を興味深いお店と思わせるか・・・。私が見た感じ、これが彼らの仕事であり宿命とも言えるのではと思えるので有る。ただ、稀では有るが本当に素晴らしいアイデアを企画している風俗店も有るのも事実。
今回は、いつもお世話になっている安納氏の要請に一肌脱ごうと、私自身の損得は抜きにして、本当に読者が満足する店を選考することにした。その後、安納氏とは何度か電話にて連絡を取り合い、何とか予定の3ページ分の枠を全て埋められる数の取材先を決定する事が出来た。後は、安納氏が大阪に来て滞りなく取材が出来れば私の任務は終了だ。取材当日、大阪に着いた彼を出迎えた私は、彼の開口一番の一言に愕然とした。『アサヒ芸能』の紙面の都合で、急遽1ページ増やさなければならないとの事。
「え〜っ!!どないしょ〜〜〜!」
取材を希望する風俗店は山のように有るが、それらを適当にチョイスしたのでは、今までの苦労は水の泡。
この結果、安納氏の大阪滞在期間も、当初の2日間から1日延長して3日間になるハメに・・・・・。
「何とか、面白いお店を探さなければ・・・・・。」
私は、業界関係者の至る所に電話連絡を、安納氏自身も既に取材を決定している店舗の取材を進めながらも、シーズ関西(大阪まんぞくニュース等を発行している会社)の編集部にお邪魔して、読者に喜ばれる店舗を再度選考する事となった。取材二日目、私は大阪の地理に疎い安納氏をサポートする形で取材に同行。日本橋の、とある風俗店の取材を終え私の車に乗り込もうとした時、我々二人の目には電信柱に貼り付けられた一枚のポスターが映った。
「お〜っ!これや〜〜〜!」
そのポスターには『コスプレ焼肉食べ放題!』と書かれて有るではないか。私自身も、この『コスプレ焼肉』は人づてに聞いており、以前から非常に気になっていたものの、なかなか行く機会に恵まれず、実際どんなお店なのかを知るには絶好のチャンス!「こんな商売、東京では有り得ない!」と言って、早速取材のアポを取り付ける安納氏。
ラッキーな事に翌日の夕方に、取材できる運びとなった。
当日、最寄り駅『地下鉄・谷町9丁目』駅で安納氏と待ち合わせ、足早にそのお店に向かう。場所は、谷町9丁目交差点より西におよそ100メートルの千日前通り沿い。かなり解りやすい立地に有るこの店は、外見は至って普通の焼肉屋さん。ただ『コスプレ焼肉・モーニング娘』と記された看板が、少々異彩を放っている程度で、初めてのお客さんも非常に入り易い感じの店構えである。だが、店内に一歩足を踏み入れると、あらゆるコスチュームに身を包んだ10数名の女の子達が一斉に「いらっしゃいませ〜!」と。彼女達の元気な声に、我々2人は思わず圧倒されてしまった。
取材という事を伝えると、我々とほぼ同世代と思われる女性が現れた。この店のママ(当然ではあるが、このママはコスプレ姿では無い。笑)である。ママは非常にノリが良く我々の取材に対し、かなり協力的に色々なお話を伺う事が出来た。