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| ■第4回 『過去に私に依頼された、困ったお店の話』 |
☆『過去に私に依頼された、困ったお店の話』
〜ケース2 キタ・お初天神でオープンしたばかりのセクキャバ
（平成16年１１月）〜
ある出会い系サイトで知り合った風俗嬢から、
「松田さんと同じような仕事をしている知り合いが居ているのだけど、何か相談が有るらしいので、一度会ってあげて貰えませんか？」
というメールが私の元に送られてきた。
同業者からの相談？一体何やろうなぁ？と思いつつも、業界での「付き合いの幅」が広がる事は私に取っても、それなりのメリットも見込めるだろうと快諾し、その同業者との席を設ける事にした。
当日、指定されたファミリーレストランに行くと、40代らしき見るからにウサンクサイ髭ヅラの小汚い男と、６０歳前後と思われるイマイチうだつの上がらない風貌の男の2人が、私を手招きしていた。
ん？どっちが同業者？てか、2人組って・・・？
そんな疑問を抱きながらも、とりあえず席に着いて話しを伺う事とした。
どうやら、若い方（と言っても、私よりはかなり年上だが）の男が同業者らしく、もう一方の男は、その同業者と業務契約を結んでいる『お初天神のセクキャバ』の雇われ社長らしい。
で、詳細を伺ってみると、その『セクキャバ』はオープンして3週間ほど経過しているのだが、オープニングスタッフとして予定していた嬢の半数以上が、オープン日の前後から順に連絡が取れなくなり、結果として明らかな嬢不足に陥ってしまったらしく、私に力を貸して欲しいとのこと。
一般人ならともかく、『コーディネーター』が『コーディネーター』に『スカウト』の依頼なんて普通では考えられない、非常におかしな話である。まるで人手不足の為、仕入れに行けない『ラーメン屋』が他の『ラーメン屋』に、麺だけを分けてくれと言っている様なものである。正直なところ、こんな出来の悪い同業者の下請けなど、まっぴらゴメンである。
ただ同席されている、雇われ社長の悲壮な顔を見ていると放って置く訳にも行かず、私は、その同業者とは別で私と契約を結ぶのなら、力を貸す事は出来ると申し出た。それに対しこの社長は、まずは嬢を数名紹介してくれたなら、直ぐにでも私と契約を結ぶと言うのだが、この時は１１月の末である。
通常この業界で働く嬢たちは、この時期から稼ぎ時である年末にかけては、店を移籍する事は極めて少なく、しかもこの時期に、オープン間も無い知名度の低い店に好んで来る嬢となると、それこそ天然記念物である。
この業界の事を全く知らない人間だから言える事なのだろう。こんな無茶な話、そう滅多に有るものじゃない。その事を何度も何度も繰り返し説明しても、「お願いします！」の一点張り。半ば根負けして、何人かの嬢を紹介することにした。まぁ、私も金儲けですからね。
だが、私が紹介する嬢、紹介する嬢、ひとまず面接には行くものの、なかなかその店で働くまでには至らない。理由は、ド素人である、その雇われ社長が面接するゆえ、面接時に要らん事を言ったり横柄な態度で有ったりして、嬢の方から入店を拒絶されてしまう始末。
こんな調子では、いつまで経っても私との業務契約はおろか、その店の『専属スカウトマン』を辞める事が出来ない。
結局、年が明けた頃には、早々と見切りを付けたのは言うまでも無い。
今回、ここで記した2軒のお店の例は特殊であり、通常、私の元に依頼をなさられるお店の大半は、こんな大ボケをかます事は無いのですが、極めて稀ではありますが、こんな難儀なお店も有るのです。
因みに、この原稿を書いている平成17年3月の時点では、まだこの2軒は辛うじて営業を継続してる為、今回は敢えて店名の公表は控えさせて頂きます。
