『春日部・後編』 Date: 2003-04-17 (Thu) 

ドラゴン今中の夕やけ風俗少年VOL.9『春日部・後編』
  
 前回、風俗激戦区埼玉県『春日部』にて、ボッタクリ店とは
知らずに怪しいピンサロに入ってしまった今中であるが...


「いや、だからもう受付で1万円支払ったのに、なんで追加料
金を出さなきゃならないの? おかしいじゃない」
「......」キツく返されムッとした表情を見せるM。す
るとまた立ち上がって奥へと引っ込んでしまった。なんなんだ
、まったく。
 また5分くらいすると今度はさきほどのパンチパーマがやっ
てきた。
「お客さん、どうされました」とくにドスをきかせた風でもな
く、淡々とした口調で応える。
「どうされたも、こうされたも、追加料金ってどういうことな
んだよ。おかしいじゃん」
「なにがですか? 」
「ピンサロでサービスが別料金なんて聞いたことないよ」
「でもお客さん、うちは30分飲み放題で8千円なんですよ」
「だってピンサロなんでしょここは...」
「まぁそうなんですが、隣にちゃんと女の子はついたでしょ。
普通に触ったりキスしたりはできますから」
「それは言い逃れだ」
「お客さん、それ以上文句言うなら帰ってもらえないですか」
 もちろんすでにサービスを受ける気力はまったく失っていた
が、支払った1万円がどうしても惜しい...。店員はとっと
と消えていてポツンと一人残された形。どうにも居たたまれな
い。
 店を出てからも腹立たしさは消えず、ダメ元で駅前にある交
番へと駆け込んだ。
「かくかくしかじか...といったわけなんですよ」
 前田吟に似た中年の警官は真剣に耳を傾けてくれてはいたが
...。結論として「そういった金銭に関するトラブルには介
入できないだよね〜」と、言い出した。
「ボッタくり条例に引っかからないんですか、あれは? 」
「う〜ん、あのね、ボッタくり条例に関しては新宿とか上野な
んかの大きな繁華街に限定されているんだよ。春日部じゃちょ
っとね」ボールペンで頭をかきながら苦い顔をする警官。

「しかし...」警察なんて所詮こんなもんか。
「だけど、キミの言わんとしていることはわかる。だから仲裁
だけはしよう」と言うわけで、さきほどの前田吟似の警官が店
に行き、パンチパーマの店員を連れて来てくれた。
「さぁ、私はなにも口は出さないから、ここでちゃんと話し合
いなさい」取調室のような場所にパンチ店員と二人きりにされ
る。
「お金返してくださいよ...」
「あれは入場料としてもらったんで、返せませんね」最初はび
びっていたパンチも、警察官が立ち会わないと知ると急に横柄
な態度に出た。
 この後1時間以上に渉って「返せ」「返せない」の応酬にな
り、いい加減うんざりしたパンチが警官に「あんまり店を開け
てられないんで帰ります」と、言い残し席を立った。
 またもや取り調べ室に一人ポツンと取り残される僕。やって
きた警官に「今度は怪しい店には入っちゃダメだよ」と、高校
生並の助言をいただき交番を後にした。
ただ虚しさだけを残して...。

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