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■ ヘンタイ・ロード(1)-2 | Date: 2003-04-18 (Fri) |
ぼったくり店へ行ったことがある
この原稿を書くためにあれこれ思いだしていたのだけれども、上京してすぐのこ
ろ、一度だけ風俗店へ行ったことがある。自ら進んでいったわけではない。場所
は歌舞伎町だった。ちょっとだけ酒を飲んでガチンコをやったら、かなり買っ
た。景品交換所の前で男に声をかけられた。パチンコに勝ったということもあり
手元に現金がけっこうあったので分からないままその男について行ったのだが、
今から考えるとそこはボッタクリの風俗店だった。
今この思い出してもなんであんなところに行ったのかよくわからない。魔がさし
たとしか言いようがないのだ。言われるものにとにかく男についていったらそこ
は狭い個室マッサージのような部屋だった。オレ自身が20代の半ばぐらいだった
けれども出てきた女性も同じような年格好だったと思う。黒いエッチな下着をつ
けている女性は中肉中背、色黒の涼しい目をしていた。髪は当時流行の聖子ちゃ
んカット。この下着を脱ぐにはいくらか出せと言われた。女の裸を見たいけれど
も金を払っているほどではない。それを女に告げると少し戸惑っている様子だっ
た。たぶん普通の客と違っていたのかもしれない。とにかく早く済ませようと
思ったのかオレのチンコをしごき始めた。ちょっと興奮していたせいもあったの
かあっと言う間にオレは発射してしまった。たぶん女の方はチンコをしごきなが
ら、フェラチオするにはいくらとかそういう交渉をしたかったのかもしれないけ
れどもあっという間に発射してしまったオレに対して、金をくれと言った。もは
や発射してしまった後なので払う気もなく店の入り口で払った1万円ぐらいの出
費で済んだと思う。こちらのそんなに金があったわけではなく、まあこんなもの
かと思った。もともとオレは自分から女の子の体を触るとかいうことは苦手であ
る。さらに言えばフェラチオよりも手コキのほうが好きだ。そして裸よりも下着
姿のほうがエロだと思う。そんな少し普通とはずれている経験がこの時は幸いし
たのであろう。「ケチ」と女が罵倒する声を背中に聞きながらオレは店を後にし
た。
少し長くなりすぎてしまった。たぶんこれが30代までのオレの風俗体験なんてあ
る。ただし、風俗嬢の友達をたくさんいた。彼女たちが話すのは客の悪口が中心
だ。そんな話を聞くにつけだんだんと風俗そのものが嫌になり、30代は1度も風
俗に行っていない。
風俗初体験の原稿を書いた
「風俗、ほとんど行ったことがないんだよね。<マグロの初めての風俗取材>と
いう企画はどおよ?」
という話をいろんな編集者にしてきたのだが、その企画に乗ってくれる雑誌が
現れた。経費を3万円出してくれると言う。よぉし、がんばるぞぉ。
風俗系の雑誌をめくってみると、実にさまざまな女の子の写真が載っている。
楽しいのは楽しいのだが、いざここから行く店を選ぼうとしても正直なところど
うしていいかわからない。たとえば、パソコンを使ったことがない人間が、いき
なり何冊もパソコン雑誌を見てもわけがわからないのと同じだ。専門用語が並
び、ページをめくるたびに女の子の写真が出てきて、頭が痛くなってしまう。
それでもわかってきたのは、ソープランドにも大衆店と高級店というのがある
ということだ。で、当たり前かもしれないが高級店にいる女の子のほうが美人で
あることのほうが多い。もちろん例外もあって、なんでこんな可愛い女の子が大
衆店にとか、なんでこんなブサイクなおばさんが高級店にというのもあった。し
かし、おしなべて、高級店は高級な女のコが、大衆店にはそれなりの女のコがい
る。ならば、初体験は、いい思い出にしたい。というわけで、狙いは高級店に絞
られた。しかーし、それからが大変である。雑誌、インターナットを使って、女
のコの写真を多数見て、そこから選ぼうと思ったのだが、これがどうもうまくい
かない。このあたり、自分が年を取ったんだなぁとしみじみ感じた。もっと若け
れば、写真で選ぶことができたのかもしれないけれど、いい女というのは写真で
は選べないということがこれまでの経験で身についてしまっている。写真には声
がない。また、その女性の雰囲気などもわからない。どうしようもないなと混乱
している時に風俗雑誌の読者投稿欄でおもしろい記事を見つけた。なんでもある
ソープ店では雑誌やインタ−ネットに女のコの顔写真を出さないのだが、その
分、いい女のコをそろえていると言う。どうせ写真で選べないのなら、こういう
店へ行くのがいいのかなとも思った。しかし、いきなりアプローチするのはなん
だかおっくうであった。そこで、知り合いのライターでソープにくわしいH氏に
アドバイスしてもらうことにした。
6万5千円払って、何もできなかったソープ
H氏はソープや風俗などかなり行っているベテランである。オレの頼みに快く
応じてくれた。とりあえず、決めている店があるので、そこに行こうと思ってい
ると言うと「いいんじゃないの」とのこと。それからアドバイスとして、「絶対
に予約は入れたほうがいいよ」と言われた。なるほど、そういうもんか。とにか
く電話をしてみた。ここで、オレはちょっとしたミスを犯してしまった。H氏に
「予約を入れるときに総額を聞いといてね」と言われていたのだが、すっかり舞
い上がって忘れてしまった。しかし、このお店、入浴料金が2万5千円と雑誌に
あったんで、それで大丈夫だろうと思っていたのだ。
当日、オレとH氏は駅で待ち合わせた。ここから電話をして店から車で迎えに
来てもらうのだ。H氏は楽しそうに
「で、総額はいくらになるって?」
と言う。あ、聞いてないんだけど、2万5千円でいいんじゃないの、と言うと
どうも違うらしい。それはお店に支払う分で女のコは別にあるそうだ。少々あせ
りながら店に迎えの車を頼む電話をし、最後についでのように「総額いくら?」
と尋ねた。で、返ってきた答えが、6万5千円である。軽いめまいがした。H氏
は「オレ、高級店だと聞いてたんで8万円持ってきたよ」と言う。オレの財布に
は5万円しかない。仕方なく、銀行のキャッシュディスペンサーで2万円ほどお
ろす。これまで素人中心にセックスしてきたオレだが、そうか風俗はプロなん
だ、金払うんだということを実感した。
はっきり言おう。オレは負け犬だ。結論から言えば、オレはソープでなにもで
きなかった。たしかに、初めてで緊張したせいもあるかもしれない。しかし、勃
起するとかしないとかいう以前に、オレはなにもできなかったのだ。
ソープランドに到着。男性従業員が丁寧に対応してくれる。で、ここできょう
いる女のコの写真を見せられる。どの女のコもおどろくほどきれいだ。しかし、
オレはここでも女のコを選ぶことはできない。店側が推薦した女のコになってし
まった。「あ、いいですよ、その娘で」と言うと、店員が
「このコはスキン使用なんですが、よろしいでしょうか」
と聞いてくる。オレはゴムインポといわれるほどコンドームが苦手な男だ。な
らば、ノーと言えばいいのにオレはニコニコしながら「いいですよ」と言ってし
まったのだ。まずここから敗北は始まっていた。さらに女のコが出迎えてくれ
て、個室まで案内してくれるのだが、そこでまず凍り付いてしまった。出てきた
女のコは写真以上に美人なのだ。オレは自分が美人の前では極端にアガってしま
う性格であることを思い出した。で、こういう場所って、相手におまかせするの
かと思っていたら、そうじゃない。男が積極的にならないとなにも始まらないの
だ。結局オレはキスすらしないまま。2時間を風呂に入ったり、女のコと話をし
て過ごした。
次はヘルスだ。これで絶対にヌクと悲壮な決意
なんてこった。6万円5千円が銭湯代金に消えてしまい。悔しくて仕方なかっ
た。ソープの待合室で会ったH氏は2発もやっちゃいましたと、ニコニコ顔であ
る。オレは肩を落として自宅に帰った。そこで、オレは重大なミスに気づいた。
この企画は、そうアソコのニオイを嗅がせてもらうというものなのにそれすらで
きなかったのだ。なんでだろう。素人の女には言えるのに、ソープの女性にはそ
んなこと恥ずかしくて言えなかったのだ。どうしてオレはこうなんだ。というわ
けで、今度こそアソコのニオイを嗅がなくちゃというわけで、再び雑誌を見る。
おお、新宿の歌舞伎町にあるじゃないか、いろんなヘルスが。ここなら家から自
転車でもいける。で、完全受身のヘルスを選んだ。50分で1万6千円と雑誌にあ
る。電話して総額はいくらかと聞けば消費税込みで1万6千円なのだそうだ。な
んだ、こっちのほうが安いじゃないか。というわけで、数日後の夕方オレは自転
車をこいで、歌舞伎町に向かった。
で、結論から言えばここでもだめだった。半立ちにはなるんだけれど、行くま
で至らないのだ。とにかく狭い場所で、中に入ると音楽がガンガンかかってい
る。で、奥の待合室みたいなところに通されるんだけれど、ここで先客が1名い
た。20代のサラリーマン風の男で、なかなかハンサムだ。さらに1名やってき
て、狭い待合室はもういっぱいだ。こっちもなかなかの美男子。風俗なんかくる
必要ないじゃないかと思うんだけど、そうじゃないんだっていうことがわかって
きた。最初に言ったように男には外見にかかわらず2種類のタイプがいるのだ。
で、待つこと15分。やっとオレの順番が回ってきた。ここでもオレは写真では選
べず、店におまかせにしたのだが、やってきたのがこれまた色白で小柄な美人で
あるたまらなくいい女というわけではないが、可愛い部類だと思う。まずは、
シャワーである。個室にシャワーがあるのかと思ったらそうじゃない。移動させ
られるのだ。おっと、カーテンで仕切られて入るが、さっき入ってきたカウン
ターの前じゃないか。そこを横切ってシャワールームへ行く。洗ってくれるのか
と思ったら、自分で洗うのだ。で、チンコのあたりは念入りに洗えと言われる。
さらに消毒液でうがいもさせられる。
で、自分もシャワーを浴びるんで、個室で待っていろと言われた。で、待つこ
と10分。やっと彼女が個室に現れる。
あとは事務的にチンコをこすったりするんだけど、なんかすっかりしらけてし
まい、どうもやる気にならない。そこで、彼女が
「マンコなめる」と言い、オレはわれにかえった。そうそう、オレはこのために
来たんだ。「うん、舐める、舐める」と言う。彼女は仰向けになったオレの顔の
ところにマンコを持ってくる。舐めるのは適当に、くんくんとニオイを嗅いでみ
る。なんだ、なんにもニオイがしない。さらに必死にニオイを嗅ぐと、さっき
シャワー室で口に含まされた、消毒液の匂いがした。
そのニオイを感じたあと、彼女は事務的にオレのチンコにローションを塗り、
そこに跨る。で、しばらく体を前後していたかと思うとその動きが止まった。
「お客さん、時間なんですけど」
発射しないまま、オレは店を後にした。なんともほろ苦い風俗デビューであっ
た。しかし、まあ、この時の体験を原稿にすることができた。
おっと、かなりの文字数を費やしてしまった。ここまでが、野望の帝国さんか
ら原稿依頼を向けて風俗に取材に行くまでのオレの経験であるこれを踏まえて、
次回の原稿から実際に取材に赴いた模様を皆さんにお伝えしよう。今のところ3
軒ほどお店には行っている。潜入的な取材。私お店側に取材だということはっき
り話して写真を撮ったものもある。ぜひ次回からの原稿に期待してほしい。