『中野』 Date: 2003-08-06 (Wed) 

●ジャンル 駅前ソープ
●場所 中野
●料金 60分1万1千円

 中野は好きな街だ。漫画専門古書店「まんだらけ」やサブカル系書店「タコシェ」をはじめとして、コレクターショップやコスプレショップ、雑貨屋、服屋が密集して 今やオタク&サブカルの九龍城と化した中野ブロードウェイがあるし、その周辺の飲 食街も安くて美味しい店がたくさんある。僕の仕事場のある高田馬場、自宅のある江古田のどちらからも近いので、よく足を運んでいる。子供たちを連れて中野をぶらぶらすることも多い。その時は、バスで新井薬師に行き、そこの駄菓子屋や公園で遊び、中野まで歩いてラーメンを食べ、それからブロードウェイを流し、地下でソフトクリームを食べるというのが定番コース。一人でも、家族でも楽しめる街だ。



中野駅北口ふれあいロード周辺。ラーメン屋とキャバクラだらけ。



 その中野でずっと気になっている店があった。ブロードウェイ周辺の飲食街のはずれにある「ゆ」の看板。この連載の第一回目でとりあげた新宿西口の「P」の改装前と同じ店名の駅前ソープで、たぶん系列店なのだろう。あからさまに昭和の香りを漂わせるレトロな店構え。これまでずっと気にはなっていたが、入る勇気なんてなかった。しかしここ数ヶ月駅前風俗についてキャリアを積んで来た今の僕は違う。こういう古臭い店構えでも、意外に若い子が出てくるものなのだ。西口ソープだって、大久保の熟女ヘルスだってそうだったじゃないか。こういう店が穴場だったりするもんだ。



いかにも駅前ソープといった店構え。



 実はこの日、荻窪からの帰り道だった。小さなライブハウスでAVについてのトークショーがあり僕も出演するはずだったのだが、なんと日にちを間違えて前日に行ってしまった。自分のおっちょこちょいさに苦笑しつつ、高田馬場へ戻る途中の乗り換え駅である中野でラーメンでも食べていこうと途中下車したのだ。そして、ふと例の店「N」が目に入ったのだ。なんとなく、このまま仕事場に帰るのもつまらない。ちょっと探検していこうかという気持ちになった。時刻は午後9時。遊ぶにはちょうどいい時刻ではある。

 店内に入る。新宿西口の店と同じように店内も外見どおりの古臭さ。かつては真っ赤であったろうが、今はどす黒く変色した絨毯。薄暗い照明。ほこりっぽい匂い。
 受付のおばちゃんが声をかけてくる。

「ご指名はありますか? 初めて? うちは本番ないけどいいですか?」

 入浴料4000円をここで払う。中で女の子に7000円の、計11000円だという。ちなみに指名料が500円。ずいぶん安い。待合室には先客がいた。ラテン系と思われる若い外国人男性だ。外国人お断りじゃないのだな、ここの店は。彼は指名客なのか、僕の方が先に呼ばれた。
 男性の店員の案内され、階段のところで本日のお相手とご対面。

「×さんです(名前を聞き忘れた…。申し訳ないがとりあえずYさんということで原稿を進めさせてもらう)」

 ついに来た、と思った。これまでの連載で訪れた店では、意外に若い子が現れてびっくりしたものだが、今回は予想通り。つまり、かなりのご年配。おそらく五十はいってるのではないだろうか。スレンダーといえば、スレンダー。誰に似ているかといえば、メトロファルスというバンドのボーカリスト、伊藤ヨタロウ氏を老けさせたような、といってもよくわからないだろうなぁ。まぁ、丸顔で三十代くらいまでは童顔といわれただろうなという感じだ。愛嬌のあるタイプではある。とはいえ、とても性欲をかきたてられる対象とはいえないのだが。

「上なのよ」

 Yさんはそういって階段を昇っていく。外からはわからなかったが、4階建てのかなり大きな店なのだ。部屋数も全部で15部屋もあるらしい。

「でも、水回りが故障してたりしてて、使えるのは9部屋くらいなの」

Yさんは笑っている。

「なにしろ45年の歴史があるお店だから」

45年かぁ。つまり開店は昭和30年代。ソープは風営法上、本格的な立て替えが禁止されているから、古い店はこうやって徐々に壊れていくしかないのだ。

 Yさんに案内された部屋は最上階の4階。階段で毎回4階まで上がりおりするのは、その年齢じゃ大変だろうな、などと失礼なことを考えたりする。いや、ま、プレイ自体がそれ以上の肉体労働か。

 個室はかなり狭い。六畳、いや四畳半くらいかもしれない。そんなスペースの中にベッドと浴槽、洗い場、そしてサウナ器が詰め込まれている。淡いブルーのタイル壁には細かなヒビわれがみっしり。壁の戸棚はガムテープで補強されている。

 スケベ椅子に座らされ、体を洗われる。Yさんは短いチャイナドレスのような白い制服を着たまま。手つきは慣れたもので、股間を洗われる時などは、思わず少し勃起してしまったほどだ。

 お湯をたっぷり張った団地サイズの小さな浴槽につかる。蒸し暑い日で、かなり汗をかいていたから気持ちがよかった。お湯につかりながら、Yさんと話す。もちろんYさんは一緒には入ってこない。一人がやっとのサイズなのだ。



団地のお風呂、といった感じのプレイルーム。狭い。



 Yさんの話によると、やはり新宿西口の店とは系列で彼女は10年ほどそちらで働いていたそうだ。しかし、西口店は老朽化が激しく、使える店が2部屋くらいになってしまい、ほとんど開店休業中なのだという。営業許可を失うのがもったいないので、とりあえず形だけ営業しているという状態。女の子がいない日もあるとか。僕が遊びに行った日は、幸運だったのか。

 そんなわけで西口店にいた女性のほとんどが、中野店に移籍してきたわけだ。

「ここって9割が常連さんの店なのよ。だから西口の時のお客さんもずいぶんこっちに来てくれるわ」

 ま、なかなか新規の客が入るには勇気がいる店構えではあるからなぁ、などと思ったりして。でも、確かに慣れると、このレトロな空間は落ち着くのかもしれない。僕もここのところの駅前風俗めぐりで、すっかり慣れてしまった。

「常連さんって、やっぱり年配の人が多いんですか?」
「そうね。40代、50代…。80代のおじいちゃんもいるわよ。でも、西口の時は、近くに専門学校が多かったから、若い子もいたわね」

 ベッドに移って、いよいよプレイ開始。まずはうつぶせでマッサージだ。Yさんは白い下着姿になる。ショーツがやたらに大きいのが、時代を感じさせる。
 韓国エステなどでもそうだが、素人のマッサージでも十分気持ちがいい。ぐいぐいと背中や腿を揉みほぐされていると、ふーっと意識が飛んでいきそうになる。
あまりの気持ちよさに、ウトウトしていると、Yさんの声。

「はい、じゃあ。仰向けになって」

言われるがままに仰向けになると、Yさんが下着を脱いでいるのが見えた。正直な気持ちでいえば、このマッサージだけでもう十分なのだが…。

 Yさんのからだは、スレンダーという言い方もないではないが、やはりどことなくくたびれた感じ。下腹部がポコッと盛り上がっているのは、高齢者(とまでいうと失礼か)特有の体型だ。しかし、胸だけが妙にキレイなのだ。半球型に盛り上がっていて、全く垂れていない張りのある形状。もしかしたら、整形していたのかもしれない。
 
 照明は明るいままで、首筋から舐めてくる。乳首、わき腹、そして股間へ。いきなり咥えたりはせず、サオやフクロの方から、ねっとりと舌を這わせてくる。そして、それが非常に巧いのだ。絶妙な強弱をつけながら、的確に性感ポイントを狙ってくる。同時に指先でのサワサワっとした動きも加わってくる。思わず声が出る。

 ベテランだったり、年齢がいってたりすれば、必ずしもテクがあるわけではない。僕も個人的な体験からいえば、むしろベテランの方が、下手な人は多いような気がする。テクニックを駆使して本気で気持ちよくさせてくれようとしているのは、最近の若い風俗嬢の方だ。たぶん昔は、形だけのフェラでも、十分商売になったのだろう。
 しかし、Yさんの舌使いは素晴らしかった。アナル周辺を微妙なタッチで刺激してくる指技もいい。すっかりヒイヒイ言わされてしまった。

 やがて、Yさんが逆向きになり、僕の顔をまたいできた。シックスナインだ。僕の目の前にYさんの性器がぱっくりと口を開いた。これはさすがに、ありがた迷惑。クンニ好きの僕だが、ちょっと舐める気にはなれなかった。すいません。
 しかし、何もしないのも失礼かなという気になり、指を伸ばして陰唇を開いてみる。性器自体はやや黒ずんではいるものの、意外にきれいだ。この程度の黒ずみの若い子だっていっぱいいる。内側は薄めのピンク色。この性器だけを見せられれば、十分興奮できる。ただ、やっぱり五十代であろうYさんのものだと思うと、ちょっと舌を伸ばすのには二の足を踏んでしまった。

 その間も、Yさんの舌使い、指使いは激しくなっていく。後半はほとんど指による刺激だったけれども、それが非常に気持ちよいのだ。手コキの快感を改めて認識した。普通の風俗だと、つい相手の女の子に気に入られようと邪念が入って、こっちから責めたり、かっこつけたりしてしまうものだが、こういう状況だと、素直に快楽を追求できて、なかなかいいかもしれない。どんどん声を出す。

 やがて発射。Yさんの手の中にどっぷり。

「あら、ずいぶんたまっていたのね」

そんなことを言われて、照れる。

 その後、再びからだを洗ってもらって、軽く湯船につかり、そして服を着る。これはこれで悪くはなかったなと思う。店がいくら古びて汚くても、相手がおばちゃんでも、本番はなくても、この店にはこの店の魅力があるのだと思う。常連さんが多いというのも、うなづける。

 それからYさんに7000円払い、店を出た。蒸し暑い。そういえば、まだ夕食を食べていなかった。中野といえば、やはりラーメンだろう。この店の周辺には、いやになるほどラーメン屋が密集している。どんどん新しい店がオープンし、ラーメン屋同士が隣あっていることも珍しくない。一番人気の中野青葉は定休日なのか、スープ切れなのか閉まっていた。
 しかし、これだけ店があると、どこにしたものか悩んでしまう。しかし、うろうろしていると、これまたラーメン屋と同じくらい密集したキャバクラの客引きに声をかけられて来てうざったい。結局、前に何度か入ったことのある「山頭火」に決めた。



山頭火の塩ラーメン。チャーシューがうまし。


おすすめらしい塩ラーメンを注文。小さなおにぎりをオマケでくれるのがうれしい。
ラーメンは、まぁまぁといったところ。最近の店にありがちな、しつこさはなく、さっぱりしている。800円。トッピングなしの基本のラーメンで800円という値段は、もう普通になってしまった。ラーメンは定食なんかより、ずっと高級食になっているのだ。
 あのソープで11000円というのは高いのか、安いのか、考える。西川口あたりへ行けば、1万円でもっと若い子と本番できるサロンがいっぱいある。ススキノの1万円ソープは若くて可愛い子がきっちりマットまでやってくれた。そう考えれば、安くはない値段だ。
 正直、また行こうとは思わない。でも、損したという気にはならなかった。あそこにはあそこのよさがあるというのは、すごくわかるのだ。

ルックス度   ★
癒され度    ★★★
清潔度     ★★
テクニック度  ★★★★★
お値段度    ★★★★
やみつき度   ★★

[BACK]  [TOP]  [NEXT]


野望の帝国ライターランキング




Copyright(c) 2003-2006 YABOU NO TEIKOKU All rights reserved.powered by Press HTML