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 合法ドラッグレポ 01(2)

 その後、機会を別にして何度かそのことについて詳しい話を得ようとしたが、
「馬鹿。お前らそんな話をこんな所ですんじゃねぇよ。」
と一切取り合わない彼。
「未知なる扉を開けといてそりゃ無いよなぁ・・・。」
そう言い合ったが、田舎の高校生だった自分たちは彼のする事、持っている物、喋ること全てが都会的に見えて、あらためて上京の意思を固めたものだった。

 高校を卒業してから半年後に、今度は実際にラッシュと触れる機会を持った。当時通っていた英語学校のこれまた教師が、一ヶ月に一度か二度ほど開かれるパーティーの会場で、トイレに連れだし教えてくれたのだった。
“Open it and sniff it as hard as you can.” (フタあけて、思いっきり鼻から吸ってみなよ。)
尻ごみするこちらの様子に笑いながら
“Go on!! Try it!!” (大丈夫だって、試してみな!!)
と背中を押す。親指ほどの小瓶に黄色いプラスティックフィルムがまかれ、赤い文字で「Rush」と書かれている。その他にも小さな文字の英文で何事かが記載されているその小瓶を手に取り、言われたとおりにフタをあけて鼻を近づける。何ともケミカルな刺激臭がする気化した液体を吸い込む。
「??」
一呼吸おいてすぐに首横の頚動脈が激しく脈打ち、周囲の音が遠のき、距離を置いた位置から聞こえてくる。それでいて一部の音は耳のすぐそばでなっているような感覚に包まれた。動悸が激しくなり、心臓の音が隣にいる彼の耳にも聞こえるのではないかと思ったほど激しく波打った。
 動悸がゆっくりと収まっていき、周囲の音も普通に戻る頃、満足げな表情の彼が
“Not bad、 huh??” (悪くないだろ??)
と笑った。
 その後は、メイン会場となっていたリビングからたびたび彼と一緒にトイレでスニッフしては、恍惚状態になるといった事を繰り返した。初めてのラッシュ体験を思い出すとき、トイレに漂うあの独特な芳香剤の香りと鏡に映る真っ赤に染った自分の顔がセットになって思い出される。

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