■男はつらいよ!! 墓次郎同業者に間違われる編(2) |
といった、いくらか被害妄想的であるにしろ、風俗店独特の “無言”のプレッシャーがお客にのしかかる。金銭の授受が発生する以上、お客としてじっくりと時間をかけ、女の子を吟味するのは正当な権利と畏怖堂々に振る舞えばいいのだが、これからちんこをさらけ出し、若い娘にあんな事やこんな事をされるという期待と、お金を払ってまで毒を放出させなければならない自分を半ば呪いつつ、なぜかこのプレッシャーに負け、
「…ぁぁああ。じゃ、この娘で…。」
と無難な線で、女の子を選んでしまい、後で激しく後悔する事になったりするのである。しかし、今日は連れと一緒だ、しかも彼は風俗にかけては大先輩。とかくさえない事きわまりない人間にも何かしら取り柄があるように、この男、風俗に関しては独特の嗅覚と不躾がましい図々しさでなんだかんだと矢継ぎ早に質問を繰り返し、お店のシステムを丸裸にし、こちらにとって有利な条件を引き出してくれるという重宝な男なのだ。ネットの普及により、出発前に十分情報を収集し、また女の子の写真も心ゆくまで眺める事が出来るようになった昨今、彼の存在意義はいくらか低下したとはいえ、こういった飛び込みの時には未だその実力を十二分に発揮してくれる。
店員とお友達感覚で交渉を続ける彼の横で、じっくりと女の子達のプロフィールや写真を見て吟味する。指名制で行くか、フリーで行くか、判断はこちらに任される事となっている。
多少のデコボコはあるにしても、店側にお任せしてフリーの娘を付けてもらっても問題なさそうなレベル。まぁ、風俗店の写真ほど当てにならないものもないから、この娘だ!!と気張って指名をしてもハズレを引いてしまうときは、引いてしまうんだよねぇ。(ごく稀に逆の場合もある事も確かだけど・・・。)という事で、指名をせずにフリーで遊ぶ事にした。
と、店の奥からいかにも風俗店の雇われ店長といった風体のちょい強面のお兄さんが登場。パッとみて、「あぁ、こういう人とは余り関わり合いを持ちたくないなぁ…。」という風体。負のオーラを体の5cm程に漂わせ、歌舞伎町の住民として長い間そのオーラを身にまといつつ今日まで来た、というようなタイプだ。最初は自分たちの前に入店していた客かと思ったが、なぜか厳しい目でこちらの様子を伺っている。すると、交渉を続ける友人と自分のもとにおもむろに近づいたかと思うと、
「同業者じゃないよね!!??」
と凄む。
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