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 男はつらいよ!! 墓次郎ネットで騙される編(4)

「そしたら、ケンタッキーを目の前にみてビルに沿って左に歩いていくとマクドナルドがあるからそこで待っていてね。」
「分かりました…。あと、どれぐらいでつく?」
「いや、もうすぐだと思う。道がちょっと混んでいて、車が進まないんだ。ごめんね。」
自分がしいたシナリオ通りの展開が繰り広げられ一人ほくそ笑む。
 目的地に到着し、マクドナルドのちょうど真向かいに車を止めて、それらしき人物を捜す。カップルやグループが殆どで、1人きりなのはしきりに周りを見渡している髪の長い綺麗めの娘だけ。「おいおい、マジかよ。なかなかいけてんじゃねぇの?」と友人。とにかく確認の為電話を入れてみようという事になり、履歴で彼女の電話番号を呼び出し、発信ボタンを押す。しばらくの間があって、呼び出し音が鳴る。が、目の前の娘は一向に携帯電話をとる様子が無い。更に2コール程待つと、「もしもし。」と電話がとられた。
「アッ、ごめん。場所移動できた?」
とにかく居場所を把握する為に聞いてみる。
「ずっと話しかけて、付いてくる人がいたからコマ劇場の入口の所にいるの。今、何処??」
「いや…。まだ、ちょっとついてないんだけどさ…。」
そういいながら素早く、コマ劇場の方を確認するが、人がたくさんいすぎる為、どれがアキなのかが確認できない。
「そしたら、マックの中に入っていてよ。そこなら安心だから。」
と話しながら、コマ劇からマックに向かって携帯電話で話している娘を捜す。と、目の前をもの凄い女が通り過ぎていく。しかも、開けた窓の向こうから生で聞こえてくる声と携帯電話のから聞こえてくる声が一緒で、間違いなくそのもの凄い女がアキである衝撃の事実を突きつけられた。
車中は異様な緊張感に包まれた。電話を持った彼女は周りを見渡しながら、なおも話しかけてくる。
「後、どれぐらいで着くの。なんだか、怖いんだけど…。」
受話器を持ったまま、息を潜める。運転席にいる友人は、車を前に出そうにもアキが目の前にいる為、動けない。電話を手にしたまま「今声を出したら気づかれてしまう」と、とにかくエベレスト山中に凍ったまま身を小さくしている遭難者のように動きを完全に止めた。

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