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【ご質問】
平加門先生に質問です。単なる風俗通いの私には実感が無いのですが、最近、韓国や中国のエステ店が強盗に遭う事件をニュースで耳にします。また、やはりエステや風俗店でカード詐欺の事件が頻繁に起きているとも聞きます。これらの手口、遭遇した場合の対応、実際の事件の模様などを詳しく教えてください。(追申;先生のコラムよく拝見してます。これからも頑張って下さい。)
【ご質問に対するお答え】
手口といわれても実際に韓国エステ強盗の被害を受けたり、被害に遭ったという韓国エステ女性従業員に遭遇したことがないので
具体性と現実味には欠けるでしょうが、報道記事などを見る限り、いわゆる「緊縛刃物強盗」のパターンが圧倒的ですね。
狙われる店の多くは、(1) 客引き女性を雇っていず、(2) 店長が女性で受付けと会計と女性従業員の世話など(なるべく人を雇わないで経費を節約するために)一人で三役も四役もこなしているお店で、(3)個室が従業員の休憩所含めて4〜6室ぐらいしかない小型店で、(4)さらに人が待ち合い室に溢れるような人気店ではなく、しかし、最低でも同じ店名で半年以上(1年以上だったら、なおベスト)続いているようなお店が狙われているようです。
犯人は3〜6人程度の「アジア系外国人」と表現されていますが、逮捕報道で圧倒的に多いのはやはり中国人。
主に「蛇頭」や「福建省のマフィア」といわれていますが、過去の逮捕者全員がそうというわけでもなく、これら有名マフィアとの関連性が余り細かく報道されたことはありません。手口は目出し帽を被っている場合もあるし、大胆にも素顔も晒した場合もあるようですが、とにかく店長、女性従業員及び客を刃物で脅して、1ヶ所に集め、粘着テープで目と口を塞いで縛り上げ、カウンターの身代金、客含めた各自の所持金及びキャシュカードを奪って暗証番号を聞きだし、その日のうちに素早く下ろしてしまうというのが主な共通した手口です。
ちなみに4〜5年前の初期の韓国エステはコリアン女性が働く純粋の韓国エステが多く、エステ強盗も同国の韓国人マフィアが襲うというケースが目立っていたのですが、韓国エステとは名ばかりで中国娘が働くお店が多くなると共に、強盗団の主流は中国人に移り、しかもその減り始めた純粋の韓国エステが追い打ちされる傾向が出てきました。
といってももちろん、中国人が韓国人を嫌っているといった人種間的な対立背景はなく、単に「情報」の問題だと思います。
前出の番号順にいうと、
(1)「お兄さん、マッサージいかがですか。カワイイ子いるよ」とおなじみのセリフで声をかけてくる客引き嬢。
多くは中国人女性で、割とカワイイ子を揃え、しかし彼女たちは直接その客の相手をしてくれるわけではありません。
いわば客寄せパンダというか広告塔というか。その一方で当局の摘発の動きや、客の選別、系列他店の客入り状況などを携帯で確かめたりする、いわば「見張り役」も兼ねています。ちなみに筆者は地元JR高円寺周辺で、店内で働いている店長及び女性従業員は中国人なのに、この客引きだけは韓国女性(それもけっこう美人でかわいかったです。笑)を使っている店を発見したことがありました。
なぜ客引きだけ韓国女性だったのか今でも分からないのですが、実際にそのお店に入ってみると、中国女性従業員の質は高かったですが、日本語の上手なコが少なく、なるほどと思いました。
もちろん、韓国人女性も中国女性も割と短期に出入りが激しいのがこの業界の特徴ですが、韓国女性の方が(総体)日本に長くいて、日本語がうまく、コミュニケーションだけで客がとれるかとれないかの店にとって重要な存在の客引きという仕事には、国籍は問わず、より日本語を理解し、喋りもうまい方がベター。日本語が余り上手でない女のコを揃えたそのお店にとっては、より日本語の巧みな韓国女性の方が必要性に合っていたのでしょう。
ちなみに強盗団からすれば、すぐに携帯で通報される見張りがいない方が「仕事」がやりやすいのは当然の話で、少しでも余分なリスクを避けるため、客引きのいない店を狙うことが多いようです。
(2) 強盗団にとっては、店長が女性であり、男の従業員を置いたりしている店を(なるべく)避けるのは常識しょう。
地元高円寺で襲われた韓国エステは(報道されただけでも)過去に2軒あって、1軒は韓国人の男性店長店。1軒は女性店長店で、同地でも最古参に近い老舗店で、こちらの方は典型的に狙われそうな店でした。店は地下1階、個室は3つしかなく、(まぁ多くの他店もそうですが)女性従業員はあてがわれた自分専用の個室に寝泊りし、各自がお金を自分で貯め込んで管理するという、ある種無防備な状態でした。
今は男性従業員がいて、寝泊りなども、その女の子の下宿が決まるまでと限られているようですが、実際は引越し代や部屋代(家賃)を節約するため、店に泊まり込むコが多いのが実情です。もう1つ原因を言えば、日本のアパートなどでは、その多くが「外国人」というだけで、入居拒否をしている差別的な社会問題も窺えます。きれい事は通用せず、現実は過酷といわざるをえません。
[(3)については省略]
(4) 人気店は当然売上金が多くあり、強盗団にとっては狙い目なのですが、個室だけでなく待合室にも客がいれば、やはり男性店長や男性従業員がいる店と同じリスクが生じます。強盗団の多くも、実行犯が4〜6人というのはまれで、(報道では)3人組がもっとも多いようです。
幸いというか今のところ、抵抗しなければ無傷で解放されるという事例がの方が多いです。手元に資料がないので詳報は書きませんが、記憶では、女性従業員が抵抗して軽傷を負ったというのが1例、同じく女性従業員が現場から逃げ出して2階の窓から転落し重傷を負ったというのが1例、これはエステではなくパブ、それも男性従業員の寮で男性従業員が刺されて重傷を負った1例、そして、日本人従業員(店長だったかも)が足を刺されて重傷を負った1例。
それから記憶は定かではないけれども、犯人と客が揉み合って、軽傷だったが、日本人客に初めて被害の出た1例等。
これは大雑把だけれども、過去に報道された1つの強盗団は、関東及び近県、実に150件以上ものエステ強盗を重ねていて、1店の被害額が(あえて少なくみても)だいたいこの程度が被害額の平均だが、10〜18万円としても、1500万円〜3000万円弱。Cカードを下ろしたらそれだけで50〜100万円になる場合だってあろうし、これほど(他の犯罪から比べて)簡単かつボロい犯罪はないだろう。
韓国エステに訪れる客は金のない若い層と違って、中高年で所持金も多く、武装した記者に抵抗するということに慣れていないから、1グループで100件、200件と強盗を重ねても、(他の犯罪と比べても)異常なほど傷害や殺人に至らない。
もち、犯罪というものは常に殺人を覚悟でやっているのであろうし、プロであればなおさらだが、実状はこうである。
ちなみにこれは(1)〜(4)全てに共通するのだが、彼らの背後のは中国マフィアの他に、日本人の暴力団もいるといわれている。
厳密にカッチリとした日中共存組織として犯罪がなされているかは不明だが、少なくとも金を貯め込んでいて襲撃しやすそうな店の詳しい情報を提供する役割は、日本のヤクザが担っているといわれている(一説に、店外での見張り役、車で逃亡する手助けも。さすがにアジト[隠れ家]の確保までやっているかどうかは不明だが)つまり、中国人が犯罪を犯すといっても、やはり日本側の情報が全てなのだ。
一昨年から昨年にかけて、歌舞伎町の暴力団とマフィアの射撃事件やスプレーによる異臭騒ぎ等が生じた時、週刊誌などではピンクビラの利権争いが背後にあったと指摘されたが、こうしたことを単純化すれば、中国人犯罪組織が暴力団の手を借りないで動こうとした、というような原因から生じたのだろう。彼らが単独で動くことになれば、国内の暴力団同士で築いてきた縄張りなどの(悪い意味での)共存共栄体制が荒されるし、それでなくても資金源の先細りで苦しんでいるルートまでアッという間に奪われかねない。これは中国人を差別しているのではなく、いわゆるマフィアの「有り方」として、人をいとも簡単に殺したり、日本のような秩序立った性風俗の中に、荒っぽい性風俗を進出させていくその感覚・度合・パワーのようなものが「異なる」のだ。単純に人間の数、マンパワーということを考えても、(将来的なことも含め)対立が生じない方が不思議だろう。
ましてそれが、いざとなったら血で血を洗うアングラ世界のこと。
こうしたことから生まれる「差別」ということを抜きにしても確かに心配だし、そこから誤った「差別」が生まれれば、もっと心配だ。これはきれい事にはすぎないが、筆者はいつもそう思う。
ポルノや性風俗はある意味「戦争」と反対の極にある「自由」と「平和」の象徴。
逆にゆうと、この分野が共存の始まりであり、さらに逆にまた平和の最後の砦。
この牙城が崩れはじめたら、悪いことはあっても、良いことは1つもないのである。
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