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風俗情報

 ■エロ業界Q&A(26) Date: 2004-01-08 (Thu) 
【ご質問】
 
平先生、毎月ビデオザワールドの誌面コラム、楽しく拝見してます。わたしは、ビデオ販売(セルショップ)店を経営するものですが、日々店長としてもフロントに立ちながら、このまま何事もなく平和な日々が続くのだろうかと、ふと一抹の不安に怯えることがあります。実は私の店、薄消しとまではいきませんが、かなり際どいボーダーラインというか、塀の上ぎりぎりというビデオやDVDを取り扱っているからなのです。これから先、消しの問題は如何ようになっていくのでしょうか?(東京都江東区/ビデオショップ・オーナー/49歳)

【ご質問に対するお答え】
 戦後のあらゆる分野の裏文化を見ていると、それらは1つの大きな流れに集約され、「宿命」のようなものを感じます。それは、各業界分野、形は違えども、究極は「性器」「性交」描写に行き着くということです。筆者はこれを(さすがに「進歩」と呼ぶには口はばったいので・笑)「進展」と呼んでいます。あらゆる手段と技術的な方法を講じて、結局はエスカレートしないと、目には見えない需要という大きな波に対応できません。
セルッショップを営んでおられるQ氏も、本当は常にこの大波の中に存在しているということを、まずは忘れないで下さい。明日摘発されてもおかしくないし、運が良ければ長続きをしているだけの話で、だから「風俗」(=うきくさ浮草かぎょう稼業=地に足が付いていない耺業)というのです。具体的に言えば、僕らの常識として、セルショップは(歌舞伎町でいうような)裏ビデオ屋さんではないし、扱っているAVやDVDも、無修正ではありませんが、当局の見解をいえば、「ビデ倫」や「映像倫」を通してないものは全て非合法なので、僕らやショップ関係者の主張(常識)は残念ながら殆んど絶対に通りません。今やボカシが小さいとか薄いとかズレているという名目は、逆に当局の摘発の「口実」ですから、向こうがそう判断したら、こちらは文句が言えません。また、猥褻図画類に関しては当局の一定の「基準」なんて有りませんから、過去に摘発された多くの猥褻図画類は、同時代に他に出回っていたものと比して、そう過激というほどではなかったです。
これは、よくいわれる「見せしめ」の他に、筆者のようなプロでも、なぜ摘発されたのか判断がつかない場合が多いです。が、一応参考のために、実例としてそうであった例や筆者の推測を交えてその原因を要約すると、A未成年者を雇用している(ショップでいえば客として入店させ、購入チェックも甘い)。B製作及び配給関連で摘発される場合。つまり当局から猥褻と認定された作品の製作元や配給元が摘発され、彼らの自供などから、その作品の却し先の直販店及び店頭販売店にまで当局の摘発の手が及ぶケース。幸いなことに、このケースはめったに有りません。その作品を異常に大量に購入していたり、殆どその製作&配給元の直営店のような関係ならば別ですが、普通一般のセルショップで、何のしがらみもなければ、このケースではそう心配することはないと思います。
ただし、当局が作品を回収する際に、この店は悪どい営業をしていると判断されると(実例・世田谷のインディーズ販売ビデオ店では、作品紹介のTVが店内に6ヵ所も設置され、殆ど丸見えの薄消しビデオが放映されていた。それも大音響で・笑)、その製作&配給関連の事件とは全く別の、その店単独の猥褻図画販売店としてやられてしまう危険があります。              
Cゾーニング(成人作品と一般作品の区分け)が出来ていない。AやBとも関連しますが、売れるからといって、余りに露骨な作品を露骨な方法で販売すると、危険性はBと同じです。
これは実例にはならないかもしれないですが、夕方のフジのニュース番組「スーパーニュース」で、渋谷の居酒屋及びディスコの特集で、未成年を平然と入店させるそれらの店が批判。指摘されていました。ある居酒屋の店長が「うちには(未成年者は)入れてません」と言い張ってはいたけれども、渋谷の未成年少女を追跡したその番組では、実際に入店させていたので、これは犯罪の温床といわれても仕方がなかった。これなんかも、何はともあれ「儲け主義」「売らんかな」です。良心的にやっているお店にはとても迷惑な話で、しかし、現実はこうしてどんどん進んで行ってしまうので、良心的であればあるほど「正直者が馬鹿を見る」。良心的な店ほど苦況に立ち、シビアな場合は潰れて行く。だから筆者は、「進歩」と呼ばず、「進展」(悪化も含めている)と呼んでいるのです(笑)。一方、逆に、良心的にやって儲かると、暴力団が目を付けて「みかじめ料」を要求してきたり、妬んだ同業者に密告通報されたり、ポルノや風俗にはこれがつきものです。やな世の中です、ホントに(笑)。
D警察(及び消防や保健所等)の指導・警告に従わなかった。これは常識的に判断できると思いますが、警察は特に面子(メンツ)が潰されるような営業や(経営者などの)態度を根に持つ習性(?)がありますから、なるべく言われた通りにしないと、あとでそのツケが大きな場合も(マレそして不運ですが)有ります。
何だか「負け犬」の処世術のように思われるかもしれませんが、保身ではなく、本当にポルノが好きなら、そして長い目で自分の人生をみることができるなら、こういうサバイバル方法も、充分に有り、です。
ちなみに、Q氏の文面を拝見すると、「塀の上ぎりぎりというビデオやDVD」を扱っているとのこと。多くは「ビデ倫」非審査のインディーズで、消しの薄さからいえば「準薄」の類だろうと思われますが、これぞ「進展」の真只中ですよね(笑)。前出したように、お店が摘発されるかどうかの多くは「外圧」(見せしめ・製作&配給元の摘発等々)ですから、予測はつきません。基本的に「無修正」でないならば、あるいは裏ビデオショップにも置かれているような、俗にいう極薄とか超薄消しといった(ボカシは入っているが、あってなきが如し)作品類でなければ、Q氏がその薄さ(進展・笑)に一喜一憂する必要はないじゃありませんか。年々薄くなったりするのは(くどいようですが)「進展」でありポルノの「宿命」です。
書くのを忘れていましたが(笑)、小売りのお店の摘発でもっとも多いのは、E近所の苦情と、F親の通報、です。アダルト作の方が7割8割を占めているのに未成年を大ぴらに出入りさせて近所から苦情が出るとか、自分の子供が露骨なビデオやDVDを持っている(見ている)のを親が知って、どこで買ったと問いつめたら、「どこそこのお店で買った」と白状し、親が警察に通報する、と。
従って多くの(裏を除く)ショップがやられるのは、「新・風営法」の無許可営業・禁止区域営業・未成年者の雇用ないし立ち入りです。
これからも、もし、ポルノや性風俗が繁栄を続けたいのであれば、筆者は、小売店側はより一層のゾーニングを、そして製作側は「ロリコン」と「強姦」ものを失くしていくことの2つに集約されるだろうと考えています。筆者の自論であるのですが、ポルノと性風俗は「大人の最大の娯楽」で、セックスは(法律上の/ただし15〜17才を「児童」と規定するのは反対だけれども)「成人」が「合意」でやるなら、性犯罪を抜きにすれば問題ないじゃないですか、どこにも。
これは自論(=自分、筆者)を安全圏に持って行こうとする方便なんかでは決してありません。「戦争」や「暴力」をなくすことと同じくらいに重要なことだからで、本来、ポルノや性風俗は、暴力を描写することでも、暴力に加担する類の行為でもありません。目的はあくまで、「性器」と「性交」を描写するか行為で楽しむかだけ、です(笑)。
あとは全部、その時代のその社会の人間次第。今、AVや風俗が社会問題化しているのは、それを見たり行なうと人間の心が歪むのではなく、歪んだ人間が作ったり見たりしているからで、それが急激に悪化に傾斜しているから際立って悪く見えたりしているだけです。まさに、消しの薄さより内容とか質の問題でしょう。
警察は内容や質で摘発できないから(これは表現の自由にも関わるし、憲法で禁止された検閲にも当るから)薄いの、濃いの、無修正の、で摘発してくる。それでいいのだと思います。作品の内容にまで干渉されたらたまらないですからね。
ちなみに押収されたビデオやDVDを警察官自らがチェックするのは知られていますが、なんでもチェック表みたいなものがあり、性器露出・手淫・性交などと分類され、さらに、(内容に関係なく)それが屋外か屋内か等々項目ずつにチェックしていくそうです。そして備考覧というか、主題覧というか、作品品目というか、名称は知りませんが、そこで初めてそれが手淫であるとか、露出ものであるとか、複数性交とか(参考のため)書き込まれるそうです。内容は問わず、ひたすら性器と性交を描写した部分のみをチェックしている。ある意味、こういう無機質で機械的な流れ作業のような判別こそが、警察官が内容にまで介入しないという点で、正しい。
逆に言えば、それを作ったり見たりする「民間」の側に、自立性や規律性があるし、また、それが(今こそ)必要だと思う。そこを乗り越えないと、絶対に大人にはなれない(爆)。AVやDVDの質も、これではよくならないからです。原因は、「快感」や「快楽」から離れ、「犯罪」や「暴力」に近づいているからです。日本人が、そうでもしないと「快感」や「快楽」を感じられないとしたら、そっちの方が異常だと断定していい時代に入ってしまっています。
Q氏が消しの薄さの過激さで一抹の不安を憶えるとしたら、それはもしかすると、背後にこの「質の低下」を無意識に感じ取っているからではないでしょうか。どんどん女をモノとして扱うような作品が多くなる。どんどん暴力性を帯びた内容のものが多くなる。これが真の不安の要因では、と筆者などはつい、思ってしまいます。その社会の凶暴性にAVが「合わせて」いったら、必ずこの業界は身動きがとれなくなるハズです。消しの問題より「質」の問題で、AVの行く末は残念ながら(今のところ)少々暗いです・・・・。

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