■エロ業界Q&A(27) | Date: 2004-01-08 (Thu) |
【ご質問】
先日、県内にある有名な青姦スポットと呼ばれるエリアで、深夜にひとつ年下の彼女とエッチなプレイを1時間ほど楽しみましたが、帰り際に僕たちをビデオカメラで撮影しているオジさんの存在に気付きました。僕はオジさんに文句を言い、撮影したビデオテープを引き渡すように指示しましたが、オジさんは従わないどころか、「これは俺の作品で俺に著作権がある。」と言って応じてくれません。さらに引き下がると「あんたたちは公然ワイセツを行っていた犯罪者なんだから、人権なんて無いんだ。」とまで脅迫されてしまいました。オジさんの言うように、ほんとうに僕らの方が悪いのでしょうか?(静岡県沼津市/某有名大学一年生・社会経験無し/19歳)
【ご質問に対するお答え】
これも(26)に充分リンクしている問題だと思いますが、なぜポルノが究極「性器」及び「性交」描写に向かって大きな流れを(それも万国共通してだ)作っているかといえば、人間の本能の中で、「覗き」に関する衝動が一番強いからなのではないでしょうか。覗き心なくては、文明の利器の発展も、文化・芸術やジャーナリズムの発展もなかったでしょう。セックスだって、大元のところでいえば、相手がどんな裸体をしていて、行為中にどんな反応を示すのだろうという「覗き」趣味的な欲望にほかなりません。愛情なんてことも、筆者は「特定の人をことさら思いやる」という一種の「覗き」ではないかと、疑っているホドです(笑)。
ところでQ氏のご質問ですが、彼女との青姦エッチを不届きなオヤジにビデオカメラで盗撮されてしまったとのこと。ご愁傷様といいたいところですが、(法的な話は後術するとしても)軽くいえば、エチケット上、自業自得の一面があるので、その自分の側の「非」は、やはり、まずは反省材料なのでは。
それに加えて法律的なことをいうと、青姦というからには彼女との性交にまで至ったのでしょうが、ここまでくるとこれはその不届きなオヤジのいう通り、「公然猥褻罪」(刑法174条/懲役6ヶ月以下または罰金30万円以下もしくは「拘留」もしくは「科料」)に該当します。公園・映画館・遊園地の観覧車含めた車内などは全て「公共の場」という条件を満たしているとされています。そういう場所でのキスや、服の上から相手の体にタッチする程度は同罪には当たりませんが、乳房の露出、性器の露出、それを相互に口唇愛撫をしたり手淫をし、もちろん性交に至れば、全て「公然猥褻罪」で、簡単にいえば、乳房以上「肌を露出」し、フェラも含めた性交はダメということです。
じゃあキスはキスでもディープキスは(笑)とか、ズボンの上から相手のチンチンを触ってイカせちゃったりしたら(笑)とか、微妙な屁理屈が必ずでてくるわけですが、そのためにこの刑罰は、「拘留」もしくは「科料」といった、実刑とは別の幅を持たせているわけですよね。「拘留」とは、拘置所に1晩〜2晩泊まって「頭を冷やす」こと。「科料」とは、罰金刑よりは軽い微罰金を取られて始末書などを書かされてしまうこと。
といっても普通のカップルであれば、よほどのことがない限り、その場を追い払われる程度か、(近所から苦情等が出ていた場合などには)交番に連れて行かれて説諭(=説教)程度で済みます。実刑を受けたり拘留されたりするのは、殆どがプロで、もっとも知られるのがストリップの踊子さん。AVの野外露出撮影及び野外ヌード撮影会などもよく生じる実例。あと、「カップル喫茶」(客まで捕まる風俗というのは今はこれのみ。喫茶店は映画館などと同じく公共の場という規定だからだ)なんかも。
次にこの不届きなオヤジの「盗撮」の問題ですが、確かに現「刑法」では盗撮禁ずる法令化はされてないけれども、「軽犯罪法」と、都道府県の「条例」がこれを禁じています。予断になるけれども、昨今の盗撮事件で筆者が一番びっくりしたのは、今夏8月、兵庫県警宝塚署の巡査長(42)が、交番で盗難の被害届けを書いていた女性(19)に対し、机の下からデジタルカメラでスカートの奥を盗撮したという事件だ。あと、救急車の車内で搬送中の女性患者にイタズラをしていた消防署の救急隊員なんてのもいた。被害女性とかさ、命に関わる病気や怪我かもしれなくて苦しんでる女性に対して、ま、この言葉は筆者嫌いで使いたくないけど、いはば「弱者」に、よくこういうことができると思う。昔の表現で言えば「死者に鞭打つような非道な所業」というのだろう。
この事件の(これも誤解されるので余り使いたくない言葉だが)すごいところは、ワイセツといった幼稚で稚戯的な行為を、耺権を利用して、逆に言えば(見つかれば必ず)耺を失い(ヘタすれば家族も離婚や離散)かねないハイリスクの中で犯しちゃってるということ。本人達にいわせれば恐らく「軽い気持ちでやっていた」などというのだろうが、その(本当は)「重い中にある軽さ」が、とんでもなく病んでる気がする。かくいう筆者だって(許されるなら)盗撮はしたいよ(笑)。だからこそ、ヒヤリとするのだ。一生を棒に振るかもしれない危ないことを、軽い気持ちでやりたい誘惑にかられる今のこの「大人」という自分が、危ないのだ。「魔がさす」という言葉があるように、これは絶対に「悪魔がどこかで笑っている」のだ。そういう一種の危機感のなさが、日本中のあらゆる自象に蔓延し、盗撮はその一時例にすぎない、なんてことを筆者は痴漢含めた性犯罪に感じています。大げさではなく、今の日本はモラル・ハザードの真只中にいるんですね。
そんな盗撮は、(全国で統一されて盗撮事犯に適用されているわけではないけれども、一応)「軽犯罪法」(30日未満の拘留もしくは1000円以上一万円以下の罰金)で過去にいくつか摘発されています。同法の第一条第23号では「正当な理由がなくて人の居住、浴場、更衣場、便所その他、人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかに覗き見た者」とあります。そう、これは(本来)盗撮ではなく、本項の大テーマでもある「覗き」(窃視盗)を捕まえるのが目的の法律です。しかし、盗撮を覗きにどこに違いがあるのかと厳密に考えれば、目的は(ほば)同根だから、強引にこれで起訴されたケースもありました。ただしこれは、「通常人が衣服を身に付けない場所」と限定してしまっているので、衣服をつけているスカートの臭や水着盗撮などには当てはまらず、また、盗撮という行為とは明らかに異なる「ひそかに覗き見たる者」という点に、少し無理が生じていたのです。ただし盗撮が目的であれば、「正当な理由」とはならないので、悪質な場合は同法が適用されます。罪は軽く罰金も安く、多くの場合、略式起訴されて罰金で済むわけですが、「前科」がつくので、当局はこれを改正してバンバン取締りたいところでしょう。
「条例」の方は、昨10月1日に施行された東京都改正「迷惑防止条例」が有名で、盗撮は「公共の場所または公共の乗り物において、人の通常衣服で隠されている下着または身体を撮影する行為」を禁止すると明確化されていて、単純盗撮が懲役1年以または罰金100万円以下常習盗撮が懲役2年以下または罰金100万円以下と、これはかなり厳しい罰則となっています。
なお、東京都のように盗撮の禁止が明確になっていない各県の「迷惑防止条例」も、「何人も公共の場所または公共の乗物において、婦女を著しく羞恥させまたは不安を覚えさせるような卑猥な行為をしてはならない」といった文言に、「卑猥な行為等」と「等」を入れてその中に盗撮も含めて取り締っているところもあります(罰金は5〜50万円と幅がある)。ちなみにこれは「覗き」や「盗撮」に伴うというか、割と付加されることが多いケースとして、「住居侵入」(正しくは建造物侵入。懲役3年以下または罰金10万円以下)があります。Q氏事例のような公園盗撮には該当しませんが、(公共ではない)浴場、更衣室、便所などの盗撮では、住居侵入が適用され、場合によってはそれが誰でも利用できる公共の施設でも、開業時間外だったり(トイレを除く)、あるいは前出の「正当な理由なく」という概念が適用され、(昨今は悪質犯が多いので)条例より重い住居侵入が適用されるケースが増えています。
で、Q氏のように公園などの場合は条例も住居侵入も適用されません。もち、肖像権の侵害や、プライバシーの侵害にもなりません。覗かれる危険を承知で自分達自ら行ったことですから。
ただし、オヤジがいう「著作権」というのは、作品でもないわけだし知的所有権の発生する類のものでもないので、全然デタラメな言い分だし、「犯罪者=人権がない」といったことも、常識的に考えてもありえません。さあ、どうしましょう(笑)。
強いて対抗策を挙げるなら「彼女が(盗撮されて)不安がった」という(一種の)被害で、訴える程度ですが。テープを返す返さないで、オヤジがQ氏に脅迫じみた言動をしたり、暴力被害を受ければ、これは恐喝や暴行障害になりますからいいんですけど(やられる方はよくないですが。笑)。あと、このオヤジが盗撮画像をネットで流せば、民事で名誉棄損の被害賠償告訴ができます。とだし、Q氏側に「公然猥褻」という弱味もありますから、互いの言い分は相殺され、さらにテープは自分の手元には戻らず、証拠として採用されたあとは、当局が処分するという形になります。ネットで流されてない場合は、Q氏&彼女に「実害」がありませんから、もし告訴しても苦しい闘いになるでしょうね。
盗撮は紛れもなく卑劣ですが、青姦は卑劣ではないですよね(笑)。でもやはりこうして「犯罪」が「犯罪」を生むわけです。
なぜ、交易道徳(この言葉も嫌いだが・笑)を守らない人は批判されるのか。例えば路上キスや、電車内での化粧とか。誰にも迷惑をかけてないのになぜ、批判されるのか。恐らくは自己中、社会意識の未発達、人は「共存」しているものだという感覚の欠如。こうした根本的なところで、自分のプライベートな部分を公私感なく野放図に出したり、勝手気ままに振舞うその自己管理のなさ(=無責任=子供感覚)に、世の「大人」は腹を立てるのだろうと思います。その言動の「甘さ」に腹を立てているんだろうと思います。Q氏の「青姦」とあの不届きオヤジの「盗撮」は根は同じだろうと、筆者は思うのですが・・・・・・・。