■ ナンパ地獄変(4)-3 |
「いやあ、東京から取材(ブブカの)で来てるんだけど…なかなか協力してくれる人いなくて、困ってたんだよ」
「ああ、そうかもね。京都の女の子ってすごく保守的だから、ナンパとかにも絶対についていかないしね〜」えっそうなの?
「東京の人ってどう思う」
「私は別に嫌いではないですけど…嫌ってる人は多いんじゃないですか」そうか…やっぱりな。しかし意に反してオレと千春は意気投合した。時刻は午後九時、夕食はリッチに河原町のフランス料理フルコースだ。このままなら完全にイケる。店を出て手をつなぐ二人。あとはホテルへの短い道中を歩くだけである。その時、不意に千春の携帯電話が鳴った。
ふと嫌な予感が背筋を走る…。
「ええっ…うっうん」オレの顔を見ながら携帯に語りかける千春。そして…。
「あの…ごめんなさい。友達が今、近くにいるらしいんです」
一瞬意味が解らない。
「えっえっ、どういうことなの」
「大阪の友達なんだけど、今日帰るところがないから泊めて欲しいって… 」まっまさか…ここまで来てこんな落とし穴が待っているとは。
「断ることは…できないよね…」一応悪あがきしてみる。
「本当にごめんなさい。あとで電話しますから…」小走りで去っていく千春、茫然と見送るオレ。こうしてシャレにならない結末を迎え、京都初日は幕を閉じた。
二日目、いきなり雨である。しかも昨日に引き続いて非常に寒い。コンビニで冴えないビニール傘を購入し街に繰り出す。今日は新京極を重点的に攻めよう。何しろ外は雨、こんなとき新京極のようなアーケード街ってのは非常に便利なのだ。
散策開始二十分、葉月里緒菜に檄似の娘(祥子、二十二歳のOL)に声を掛けた。彼女は滋賀県出身、今日は会社が休みということでお買物だそうである。
「何買いに来たの?」
「うん。春モノのスカートですよ」
「滋賀県から来たんだ…それって、遠くないの?」
「電車で三十分くらいですよ」
「あっそうなんだ」地理に疎いオレではある。
「滋賀県…と言うとあの摩周湖のある」
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