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  ナンパ地獄変(4)-5
「おまたせ…」
 京都滞在二日目にしてやっとHに成功した。しかし、それはオレ本人の思惑を大きくフェードアウトした不本意なものである。責めてテレクラであっても、もう少し可愛い娘をゲットしなければ…。この焦りがイイ方向へ向かってくれると申し分ないのだが。
 三日目は快晴であった。ジャケットを着なくても外出できるくらい暖かい。いや〜春の陽気は侮れんね。早速昨日と同じく新京極と寺町通りを散策する。新京極は観光客や修学旅行生たちが多いけれど、寺町通りの方はオシャレな雰囲気だ。この辺なら地元のカワイコちゃん(死語)が多数いてもおかしくはない。
 声を掛け始めて三人目、やっと話に乗ってくれた真知子ちゃん二十歳(専門学校生)とまずは喫茶店でお茶、そして食事とかなりいい感じであった。しかし…夕方になると。
「ごめんなさい…今日はお母さんに早く帰るって約束しちゃったんですよ…」と言い出した。こうなると最早ため息しか出てこない。しかしさりとて、こちらの都合でどうこうするわけにもいかず、それでも携帯番号だけはとりあえず交換して別れた。

 なんだろうね〜。すでに午後六時、あまり落ち込んでいる時間もない。今度は場所を先斗町に移して声を掛ける。すると二十歳のフリーター敦子が網に掛かるも、結局お茶だけ飲んで終了。まっ、実際こんなもんなのかもしれないね。などと自分を納得させようとしたが、気分は最悪である。
 三条方面から河原町へ向かってとぼとぼと歩いていると、向こうからもやはりとぼとぼ歩いてくる一人のコギャル風と目が合う。
「こんちは…」なんだか自然と言葉が出てしまった。コギャルも苦笑いである。
「これからどっか行く予定とかあるの?」
「…べつに…」無気力という感じだが、別段拒否する姿勢ではない。
「お茶でもしない?」
「いいけど…」コギャルの名はリエ。十九歳の無職らしい。コギャルとは言っても、着ているファッションがそれっぽいだけで、肌の色は白くかなりカワイイ。渋谷にいるそれとは違うのである。
「アルバイト捜してるんだけど、なかなかいいのがなくって…もう水商売でもいいかな〜なんて思ってさ…」どうやら元気がなかったのは腹が減っていたかららしい。喫茶店の不味いナポリタンを食べてやや元気になった様子だ。

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