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  ナンパ地獄変(7)-2
「ちょっと時間ある?」
「なんで山形で取材してんですか?」
「いや…ははは…」やはり山形にマスコミが来ることなどめったに無いらしく、かなり怪しまれてしまった…。しかしこの後バイトがあるらしく十分ほど立ち話しただけでバイバイ。まあ出だしとしてはこんなところか。
 五分もしないうちに山形プリンス付近を駅方面に向かって歩く一人の美女を発見。煥発入れずに声を掛ける。
「ちは〜す。暑いですね。熱射病とか大丈夫ですか」
「はあ、一応大丈夫バンダナ巻いてるし」おっと、声を掛けてから気づいたがパフィーの亜美に似ててかなりの上玉だ。こういう娘と山形の夜を過ごせたらさぞかし楽しいだろうに…。
「よかったらお茶でも」という誘いにも嫌な顔一つせずついてきてくれた。亮子ちゃん(二十歳)キャバクラ嬢である。
「もうやめようと思ってるんですよ…水商売は、でもなかなかやめられなくって」
「そりゃあね、一度知った贅沢な味はなかなか捨て切れないでしょう」なんだか人生相談っぽくなってきたな。オイラはこんな話をしたいんじゃないんだけどな〜。
「もう少しお金貯めたら東京に出たいと思ってるんですよ」
「へ〜そうなんだ。そしたら東京を案内するよ」
「ホントですか、ありがとうございます」おいおい…すっかりイイお兄さんみたくなっちまったじゃね〜か。ダメじゃん。
 結局亮子は「仕事に行かなきゃ」ってなわけで夕方にはお別れ。携帯の番号だけかろうじてゲットしただけだった。あ〜あ、オレの悪いクセだよな。相手がやたらイイ女だったりすると妙にカッコつけちゃったりしてさ。なんで「ホテルで話そう…」って一言が言えないのかね。(誰だって言えんでしょ)
 時刻は午後六時。いくらこの時期日は長いとはいえここは山形だ。渋谷、新宿みたいに真夜中近くまで賑わっているとは思えない。毎度のことながら徐々に焦りの色が濃くなってくる。七日街のメインストリートも人通りが激減。おまけに松坂屋は閉店。大丈夫じゃないだろう…これは。それでもなんとか暇そうな娘を発見し、必死で声を掛ける。
「なんか暇そうだね…どこいくの」こうなってくると気の効いたセリフなんぞ出やしない。「えっ、ええ、自宅に帰るんですけど」そりゃ、そうだよな。
「いや…実はオレ東京から来たんだけど道に迷っちゃってさ…東京までの道を教えてくれないかな」
「キャハハ…お兄さん面白い人ですね」どうやら高印象をもってくれて一安心。ひとまず近くの喫茶店でおしゃべりを楽しむ。彼女の名はユキ、二十三歳のフリーターである。
 一時間後…。

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