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  ナンパ地獄変(7)-4 Date: 2003-12-11 (Wed) 
 ところで山形と言えば、忘れていたが山形牛である。松阪牛などと並んでそのブランド名は全国に響き渡っているが、このステーキをぜひとも賞味してみたい。取材とはいえせっかく来たのだ、これくらいの贅沢は許されていいだろう。
 と、くればそれもナンパの明確な理由となる。「山形牛の美味しい店ってどこですか?」と声を掛け「昼時なんで、よかったらご一緒に」と誘う。完璧だ。完璧過ぎる。オレは早速七日街へと繰り出した。
 さすがに昼時とあって街自体はまあまあ賑わっているが、その七十%は主婦といった感じだ。しかもみんな若いね、いわゆるギャルママばっか。やっぱ田舎だから結婚も早いのかね〜他にすることもないし。などと考えているとオレの傍らを通りすぎるTシャツ姿のラフなネーチャン。思わず後を追う。
「すいませ〜ん。実はボク東京から来たんですけど〜山形牛の美味しいお店って知ってますか」
「え、山形牛ですか…」どうやら突然の質問にかなり戸惑っている様子。
「う〜ん、そんな店あるのかな〜」
「えっ?」
「食べたことないし…」
「嘘でしょう、牛肉食べたことないの?」
「あるけど…山形牛じゃないんじゃない。オーストラリア牛とかじゃないの」
「………」地元でもこんなにメジャーじゃない山形牛っていったい…。
「いや…なんかガイドブックに載ってた気がして…食べてみようかな〜って思ったんだけど」どうも、しどろもどろのオレである。
「駅の方に行けばあるかも…」
「駅か〜、よかったら一緒に行かない?」それでもとりあえずは誘ってみる。
「暇だったし、いいですよ」よっしゃ〜。
 駅だったら歩いていきましょうよ。という彼女の提案によってテクシー。山形県民にとってこれくらいの距離(約一、五キロ)は朝飯前といったところか。曇空でよかった…快晴なら日射病で死んでるな、こりゃ。
 丸顔が可愛いフリーターの菜摘ちゃん(二十歳、しかしフリーター多いな)は今日も夕方からコンビニのバイトがあるらしい。それまでになんとかしないと…。
 山形牛のステーキ屋は駅近くで簡単に見つかった。タレやソースを一切つけず、塩コショウだけで味わうレアステーキはまさに絶品。ナンパ旅行始まって以来最高の贅沢である。おかげで口説くのをついつい忘れてしまった。ホテルまで二分の距離にもかかわらず菜摘はふたたび七日街へと戻っていった。なんだよマジでステーキ奢っただけじゃね〜か。
 夕方からは駅周辺で探索を開始するも、目ぼしい当たりは無い。こうして二日目も最終局面へと突入してきた。焦る…。時刻は七時を回ったころ駅を出てバス停へ向かう歩調の遅い娘を発見。

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