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  ナンパ地獄変(9)-2
「やっとかめ〜何やってるんだぎゃ(方言の使用方法適当)」
「え〜、て、いうか誰ですか?」
「いや…愛知県の方言を守る会のメンバーなんだけど」
「キャハハ。ウソつけ」
「暇だったらお茶でも飲まない…」という感じで連続のティーブレイクとなったわけだが、依然として外は大雨。会話を続けていても何とも上の空と言ったかんじである。そして三十分程したところで。
「もうそろそろ帰らなきゃ…」
「ええ、まだ四時前だよ。まだいいじゃん」
「う〜ん雨も降ってるし、今日は早く帰ることにする…ごめんね」だってさ。なんだよ。
せっかくこれから盛り上がるとこだっつうのに…。
 しかし地下街から外に出てみてその雨量にちょっと吃驚。こりゃあちょっとナンパできる状況じゃないぞ。せっかく名古屋くんだりまでやってきてこのままじゃいかにもまずい。こうなったら困ったときの秘策テレクラだ。うむ、雨の日のテレクラは鳴りもいいハズ…。と自分を無理やり納得させていざ出陣。
 駅で購入した一口ういろうをパクつきつつ狭い室内でコールを待つ。しかし、あまり鳴らない。たまのコールもイタズラかガチャ切りのどちらか。おいおい雨の日はいいんじゃなかったのか。だんだんと不安感が押し寄せてくる。
 入店からすでに一時間半、時刻は六時。ここまで一本の当たりも無し。それどころかまともな会話が一人も無いとはいったいどういうこっちゃ。じつに頭を抱えたくなるような展開だ。そのとき、ふと鳴ったコールがまさに起死回生の一本だった。
「もしもし…」おっとこの周囲の音。絶対に公衆コールだ。
「こんちは、どっからかけてるの」
「栄…」このぶっきらぼうな話し方も公衆コールとあらば許せるってもんだ。
「あっここも栄だよ、近いね」
「その近くからかけてるんだもん」くっ、思わず握り拳に力が入るが我慢だ。
「あっ本当に。じゃあよかったら会ってみる〜?」
「あのさ援助なんだけど」出たよ。まあやっぱりと思わなくもないが、この雨じゃ贅沢も言ってられん。とりあえず顔だけは見ておかないとな。
「OK、じゃあどこで待ち合わせる?」

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