■ ナンパ地獄変(11)-3 |
「どっか行ってきたの?」
「えっうん、友達の家に…ちょっと」
「雪、結構降ってるね…」
「そうですね、あっ、こっちの人じゃないんですか?」しゃべり方のアクセントで気づいたか、それとも持ち前のこの軽いノリか。いずれにしてもそれがきっかけで二人は駅近くのミスドへとシケ込むこととなった。どこにチャンスが転がってるかわからんね…。
「へ〜東京から来たんですか、いいですね」東京という言葉に少なからず憧れを抱いている娘は実にやりやすい。
「うん…遊びに来ればいいじゃん。案内するよ東京タワーとか…」オレも段々と調子に乗ってきた。
「あのさ、お腹すいてない?もう七時過ぎてるし、奢るからさ」
「え〜ホントですか」
と、言うわけで宿泊先であるホテルのレストランで食事。そして当然ながらその後は部屋でサヤカの肉体をたっぷりと味わうことに成功。しかしルックスはフカキョンに似ていたものの、スタイルはプラス十キロといった感じで今一つだったことも同時に報告しておこう。
しかし成功したのもつかの間。その晩からオレは猛烈な下痢に襲われたのである。夜中の三時過ぎまでトイレを離れることができなくなってしまった。これも風邪の影響か、それとも寒さで腹を冷やしたせいか。どちらにしても明日に影響を及ぼしそうな不測の事態だ。
翌朝、下痢の影響で起きたのは正午に近かった。昨日あれだけ降った雪もすでにやんでおり、絶好のナンパ日よりとなっている。早く出かけないと北海道は日没も早い。なにしろ四時過ぎたらもう真っ暗だもんな。顔を洗って身仕度を済ませると朝食もそこそこに街に繰り出した。
さすがに日曜だけあって人の数は多いようだが、それでも札幌あたりとは比べようがない。本当に北海道第二の都市なのか?西武デパートの前あたりで声をかけたヒトミ(二十歳、服飾系勤務)はこのあと友達と待ち合わせ。駅前で声をかけた舞子(十八歳、学生)は彼氏と待ち合わせ…ということでそれぞれ丁重に断られてしまった。
そう簡単には行かないものだよ…ナンパなんて所詮努力の積み重ねでしかないもの。この間オレはデパートとファーストフードで二回便所に駆け込む。この年齢になってウンコを漏らすのだけは、オレとしもなんとか避けたい。しかし今日はダメならテレクラでも行こうか…という気持ちが比較的心に余裕を持たせている。まっあんな天候で昨日も成功しているし…なんとかなるさ。という楽観的気分だ。しかしそんな気持ちと裏腹なのがこの下痢…というか腹具合なのだ。こればっかりは即なんとかなるものでもない。実に辛いところだ。
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