■ ナンパ地獄変(20)-2 |
「飲みにいこ〜よ〜」
「そんなに飲みたいんなら、うちの店に来たらいいのに」
「…って、キャバクラなの? 」
「いや違いますよ、普通のクラブですけど」
「キミの店って、いくらくらいかかるのかな? 」
「ま〜だいたいボトル入れたら一万五千円くらいじゃないかな」無理!! いくらなんでもナンパしにきてそんな無駄金なんぞ使えません。それに絶対一回行ったくらいじゃヤラせてくれるわけないもんな。風俗の方がマシだぜ。
どうもいかんね。しかし時刻はもう8時近い。いくら週末と言えどもそろそろヤバイ時間帯に差し掛かってきたぞ。と、いうことはやはりいつものようにテレクラか…。しかしいかんせんテレクラは場所がよくわからんのだ。それに高知では数年前に女子高生がテレクラで知り合った男に殺される事件があってから、結構規制が厳しくなってるらしく店舗も激減したと聞いている。さてどうすっか。
しかし、なにげにソープランドの建ち並ぶ堺町へと足を運ぶ途中、偶然にもテレクラAを発見した。とりあえず入って見るか。
築30年は余裕で経つ老朽化したビルの3階。以前に訪れた東北のテレクラを思い出す。確かあのときはコールが最悪だったな。嫌なことがふと頭をよぎったが、それはそれ、と気合を入れ直す。
プルルルルッ。入店早々1発目のコールを取る(ここは早取りの店)。
「もしもし」
「あの…、なんかお兄さん若そうだけど」
「えっ若い人はダメなの? 」
「え、そういうわけじゃないんだけど…」ということは、ようするに援助希望ということなのかな。
「実は、すこしピンチで…」
やっぱりな。だが、ここで黙って電話を切れるほど今のオレには余裕がない。とりあえず会う約束だけはする。まっよほどのブスでなければ多少の出費は致し方ないところだ。
「じゃあ四国銀行の前についたら電話しますから」
最近は援助希望の女というのも質がかなり落ちてきているから正直なところあまり期待は持てないだろう。それでも一応はアポを取る自分が情けない。
しかしである30分後、約束の場所に立っていたのはオレの予想を遥に上回る美女であった。
「こんばんは…」と笑顔で挨拶する加奈子(二十歳)は歌手のシェラに似ている。
「あっ、じゃあ行こうか」
「えっどこへ行くんですか」
「いや、オレSホテルに泊まってるんだけど」
「えっ嫌ですよ、そんな遠いところまで行くの、それに怖いし」
「怖いって…そんな…」
「そこのラブホテルでいいじゃないですか、ねっ」
う〜む…これが普通のブスだったら「じゃあやめときな」と言って、とっとと戻るところだが相手はシェラである。しかし説得しようにもこんな往来だし…どうする。
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