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風俗情報

  ナンパ地獄変(22)-3
「いや…、そんなことあるわけないじゃない(実際はある)」
「そうですよね…じゃ仕事かなんかですか? 」
「うん、そうね」う〜む、こういう聞きたがりの娘というのは意外と苦手なのだ。結構反応はいいんだけど、結局Hにまでは辿り着けないのがパターンなんだよな。オレも二十回以上続けているからその辺は充分解かって来たのだ。残念だけどパス。しゃーない。
 だけど、段々ではあるが、流れが来ているような気もする。別に根拠はない。街に人通りが増えた…という気配もない。単なる予感だけだ。だが、そんな予感も的中することがある。
「今日はちょっと買い物に来たんですよ…」というキャバ嬢を若草通りでゲットしたのである。
「へ〜だったらお茶でも飲みにいかない? 」
「あっ、ちょうどヒマだったし、いいですよ」簡単に誘いに乗ってきた紀子(十九歳)
 しかし何といっても敵はキャバ嬢だけあって一筋縄ではいかないのだ。
「最近いつHしたの? 」
「う〜んと、先週かな…」
「そのときは満足した? 」
「うん、ぼちぼちかな」などといったセクハラ話にも喜んでついてはくるが、水商売だけあって平然としている。クソッいい女なんだけどな〜。こういう一見ノリが良過ぎる女というのは本当にタチが悪いのだ。
 結局、お茶を飲んだあとに買い物に付き合わされ、夕飯まで奢らされた…(引っ張るオレも悪いは、悪い)。だが、「ホテル寄っていかない? 」の誘いには断固としてNO! そりゃそうだよな。キャバクラ嬢だもん。あいつらが簡単に股を開いてたら商売になんかなりゃしないもんな…。などと一人納得しているうちにすっかり真っ暗になっちまっただよ。
 ガビーン。時刻は午後六時過ぎ、この時間帯は宮崎人にとってかなりのデッドタイムだ。なにしろ街に人が全然いなくなっちゃうんだもの。思わずジャック・フィニィの『盗まれた街』を思い出しちゃうよ。もうこうなるとナンパどこじゃないんだよね。
 仕方ないか…。相変わらずソープの呼び込みがうるさい風俗街を歩き、テレクラへと辿り着く。築三十年は経つボロい建物の二階へとオレは上がっていった。
 入会金千円、個室使用料二時間四千円。地方都市にしては比較的高いと思われる金額をフロントのオバちゃんに支払い個室へ。中も想像以上のボロさである。
 待つこと三十分。最初の一本目こそヒマつぶしのイタズラであったが、その後はそこそこのコールが来る。
「じゃ車で三十分したら迎えに行くから…」と、言って電話を切った幸子。
「東京のことをもっと聞きたいな〜」と、言ってくれた陽子。
 どいつもこいつも社交辞令なのか、単なるからかいなのか、オレの携帯が鳴る気配はまったく無い。チクショ〜。来る気無いなら約束なんかするんじゃねー!! と、怒鳴りつけたいが、それも大人げないので自重する。こんな小汚いテレクラの一室で地団駄を踏んでも虚しいだけなのだ。
 だが、入店から一時間半が過ぎようとしていた頃、一本の公衆コールがやってきた。
「今、ボンベルタの前にいるんだけど…」
「あっじゃ近いね」おっ来ましたよ。待望のコールが。

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