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 ◆影野臣直「アングラビジネスの帝王」その3・特別編(1)

緊急寄稿 「ウラ宿系、歌舞伎町を走る!」 影野臣直

歌舞伎町を震撼させた外国人一斉摘発についてのルポをお送りしましょう。

Vシネ撮影初日から入管一斉取締りの大騒動
 その日はオレが原案を担当したVシネマ『実録・ぼったくり』の撮影初日だった。だが歌舞伎町に出てみると街じゅうに不穏な空気が流れているのを感じ取った。これも長年の経験だろうか…。そんなとき、プロデュースを担当してくれているコーディネーターのT氏の携帯が鳴った。

「影野さん、入管の一斉取り締まりだ!」

 唖然とする服部光則監督やスタッフ、出演者をほったらかしにしてオレは最短距離で現場に直行した。このあたりの裏道は熟知している。現場は風林会館の斜め前にあるSビル。オレが到着したときには、すでにパトカーが数台ビルに横付けされていた。

「夕方頃、文化センター通りに護送車が待機していたのでヤルと思ったんですよ」

 デジカメを確認しながら話すT氏。相変わらず手際がいい。それも当然で『歌舞伎町連続異臭事件』の際、スプレー缶が投げこまれた『P』という店の内部写真を唯一押さえた人物こそ彼なのだ。

「化学防護車のガス分析機から分析結果の紙が出てきた瞬間の写真の方がスゴイんですけどね。でも単なる催涙スプレーだったから…」

 そういえばオレも知り合いのヤクザから『撮影? 今夜はやばいよ』と聞かされていたことを思い出した。当局はやっと重い腰をあげ、密入国や不法滞在、違法就労などの多発地帯である、歌舞伎町のスポーツクラブ近くに東京入国管理局の出張所を開所した。そこは外国人摘発専門の前線基地。今回の一斉摘発はその華々しい初陣なのだろうか?

 そんなことを考えながら現場の様子を伺っていると、濃紺の護送車数台がSビル横に入ってきた。赤色灯を持った交通課の応援部隊が、歌舞伎町で最もクルマの集中する交差点の交通整理と警察車両の誘導にあたる。時間は午後10時。歌舞伎町がいちばん混雑する時間帯だけに、現場はみるみる野次馬で一杯になっていく。ビル前の横断歩道はあっという間に人で埋まる。交通課員の交通整理の対象はクルマから人へと変わっていった。

『射殺事件か? 異臭事件か?』と集まった野次馬たちは好き勝手に憶測を口にする。現場近くの喫茶店『P』で起きた中国マフィアによる日本人暴力団幹部の射殺事件と、その報復で中国クラブを狙った『連続異臭事件』の記憶が残っているからであろう。

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