野望の帝国 野望の帝国

風俗情報

 ◆影野臣直「アングラビジネスの帝王」その3・特別編(3)

 いつもながらT氏のその卓越した情報収集力と行動力には恐れいる。ちなみに異臭事件以降、最大の中国マフィアでもあり、悪名高き福建マフィアはこれを期に一斉に当局に摘発され消滅した。そしてより凶悪な黒竜江省マフィアが残った。喫茶店『P』での射殺事件の主犯も国際手配され、後日マカオで逮捕された。中国と日本のあいだには犯人引き渡し協定は無い。刑務所に服役していたことのあるオレの経験上、外国人は日本の刑務所に収監されることを異常に畏怖する。古くはフィラデルフィア刑務所、最近ではアルカイダの収容施設よりも日本の刑務所は厳しいといわれていることからも想像はつくだろうが…。

 この日は警視総監の厳命で新設、組織再編された警視庁組織犯罪対策課、生活安全課、そして東京入国管理局が1200人体制で密入国者、不法滞在者の本人以外にも、不法就労者を雇っている違法風俗店、売春クラブ、暴力団事務所などを一斉摘発したのだった。名目は不法就労助長罪に風営法上の「営業に関して行われる売春事犯等を防止するための規制」。営業所で客に接する業務に従事する者(接客従事者)への売春強要の禁止…そんなところだろうか。

 翌日、知り合いのヤクザの話では、関東の暴力団Bは対象外で、関西の系列ばかりが摘発対象だったらしい。そのことを早耳のT氏に教えると『へ〜ッ、スゴイじゃないッスか』と感心された。

「さぁ!撮影再開!」

 しかし、その日、もっと凄惨な事件が起きてしまった。オレの知り合いのヤクザ幹部が歌舞伎町のマンションで射殺されていたのだ。抗争に巻き込まれたのだろうか?

 それとも怨恨? だが原因はどうでもいい。ひとりの友人として、オレの仮出獄を祝ってくれた男が射殺されたのだから、いまはただ彼の冥福を祈り合掌!

(大橋書店・ヤンナイより)

[前のページへ] [影野臣直TOPへ]


Copyright(c) 2003-2004 YABOU NO TEIKOKU All rights reserved.