■マグロの独白(7)-2 |
さて、A子は電話口で自分の窮状を訴えた。なんでも彼女は、埼玉県の奥地からがブルセラショップに使用済みのパンツを売りに都心に出てきたらしい。ところが、いったん電話で予約を入れたのにもかかわらず、いざ行ってみると断られたと憤慨しているのだ。問題はその断られ方らしい。「私、ちゃんと31歳ですって年齢を行ったんだけど、それでもいいから売りに来てくれって言うのね。で、いきなり店に来いっていうんじゃなくてさ、駅前で待ち合わせたのよ。そしてたら、いつまでたっても相手が現れないの」
それで、彼女はしびれを切らしてショップに電話した。すると店員は
「急用ができて、手が離せなくて行けなくなりました」
と言って取り合ってくれないのだという。A子の考えでは
「あれは、きっとテレクラの待ち合わせみたいに遠くから見て、ダメだって帰っちゃったんじゃないかって思うのよ」
そうかもしれない。最近のブルセラショップというのは使用済みといっても、女なら誰でもいいというわけである。いっしょに顔写真もつけられているからよほど可愛くないと、買い取りしてくれないらしいのだ。需給バランスと言うものだろう。だいたい、男なら誰でもブルセラショップに行くというものではない。僕自身、使用済みの下着にはほとんど興味がない。性的興奮の対象と言うよりも、洗濯物という感覚なのだ。
しかし、そんな趣味がない僕でも、A子が売れなかったパンツを見てみたくなった。いや、顔も見たことがないのだ、まず顔を見なくては。それで、パンツの価値も決まるというものだ。とにかく好奇心のわいてきた僕は、
「写真を撮らせてくれよ。モデル料やるからさ」
小1時間して現れたA子の姿は…。めちゃくちゃなブサイクというわけではない。ま、美人とは言いがたいが、ごく普通の顔立ちで、背は160センチ台の半ばとけっこう高い。体つきはデブではないが、ナイスバディとも言い難いがダメな体型ではない。
彼女はバツイチなのだが、そういうことは外見ではわからない。こいつとセックスしたいかと聞かれれば、したいと答えるだろう。A子はエッチしたい気を起こさせないほどのブスというわけではない。
しかし、なんでブルセラショップではダメだったんだろうか。とにかくダメなパンツを見せてくれと頼んでみた。すると、A子は顔が写らなければという条件でスカートをめくり、パンツを見せてくれたのだ。おかしなもので、男は女の子が嫌がるからパンツを見たいわけで、こうしてはいどうぞと見せられると、なんだかちょっと違うんじゃないかという思いがわいてくる。