■マグロの独白(11)-4 |
躊躇するI美だが、意外のところから援軍がやってきた。I美の友達ライターである。
「その下ってボディスーツなんでしょ。それぐらいは大丈夫よ」
と言ってくれた。ボディスーツ? っていったいなんだ? オレにはわからなかったが
「そうだよ、そのほうがいいよ」
と言う。無理かなと思っていたけれど、まるでI美は魔法にでもかかったように上に着ていたセーターとスカートを脱いでくれた。そう、ボディスーツとはパンツとブラジャーがつながっているものである。まあ、ワンピースの水着のような感じだ。おお、これならハッキリと下腹がわかる。最初は恥ずかしがっていたI美もだんだん慣れてきたのか平気な様子だ。そこで、オレは
「じゃあ、下腹のお肉つまんでみてよ」
と言うとI美は笑いながらもやってくれた。サンキュー! こういう撮影をしていると、なんだかI美の裸を撮った以上のエロスを感じてきた。たぶんそんな目で見つけていたのだろう。I美は
「いやだ、恥ずかしい」
と言い、下腹を押さえた。そう、女は男が欲情するものに対して嬉し、恥ずかしの複雑な心境になるものなのだ。
東京大学出身の編集者の顔面にパイ
少し前の話だが、マイクロソフト総帥のビル・ゲイツが顔面にパイをくらった。このニュースに世界はおおいに沸いたものだ。
かつて映画評論家の淀川長治氏がサイレント喜劇に出てくるパイ投げについてこんなことを言っていた。
「たいていはエラそうにしている人にパチーンとパイが当たるんですね。だから観客は大喜びするの。いい格好を紳士。それから当時の女性というのはやっぱりえらかったんですね。レディーファーストの国ですからね、男の人が座っているところに女の人が入ってくるとみんな男の人は席を立たなくてはいけなかったんですね。そんな威張っている女性にパイがパチーンと当たるから面白いんですね」
つまりビル・ゲイツも偉いから面白いわけだ。で、女性も美人でつんとしているのにパイが当たるから面白いのである。つうことでオレの頭に浮かんだのは、東大出身の女性編集者だ。電話で
「あのぉ、パイ投げのモデルになってくれないかな」
と頼んでみた。