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 第4回 タイで生きるいろんな「性」のカタチ(2)

 そしてビックさんは自分が『ゲイ』と呼ばれる存在であることを15歳のとき、両親にカミングアウトした。

「僕は女の子が好きじゃなくて男の子が好きなゲイですって正直に言ったよ。お父さんがゲイに拒絶反応を示す人だっていうのは知っていたんだ。でも黙っているのがものすごくストレスになっていたから思いきって告白した。やっぱりお父さんは怒ったよ。でも、だんだんと理解してくれるようになって、僕が大学生になったときは完全に受け入れてくれたんだ」
 
 正直に告白して誰にも嘘をつかないことで、自分の精神的負担は減った。けれども父親を悲しませてしまった。この点だけは心が痛んだし、忘れられないという。一見そう見えるけども、タイのすべての人がゲイに寛容なわけではないのだ。

「うん、そう。タイ人のなかにもね、たとえば昔の僕のお父さんがそうだったようにゲイを受け入れてくれない人はいるんだ。テレビとかで流れるゲイのオーバーアクションに、嫌悪感を感じたりね。僕を避けたりする人も、多くはないけれどいた。でもあまり気にしないよ。べつに悪いことをしているわけじゃないからね」

法律的には結婚は無理。けれど彼と家庭をつくりたい

 現在ビックさんには付き合って2年半になる彼がいる。短期間恋愛が多いゲイカップルのなかでは異例の長さだ。

「タイのゲイカップルも長期間つきあう人たちって多くはないんだ。でも僕たちはよく話し合っているし、お互い理解しあっているからね。もちろん彼とつきあい始めてからは、一度も浮気をしていないよ(笑)」
 
 ここでなにやら取り出すビックさん。芸能方面で仕事をしている生真面目そうな彼とのツーショット写真だった。

「子供? 冗談まじりでだけど彼と孤児を引き取ろうかって話したことはあるよ。お金ができたら実現させたいねぇって。やっぱり子供はかわいいし、彼と家庭をつくりたいからね。将来は彼と一緒になにかビジネスを始めようと思ってる。うん、これからもずっと一緒にいたいね」

 聞いているこちら側が赤面してしまうようなセリフを臆面もなくいうビックさん。
 ところでビックさん、バンコクにいると多くのゲイの人を見かけるんだけどそれはなぜなのか。タイ人のあなたなりの考え、意見を聞かせてくれる? との問いに、

「少しづつカミングアウトする人が増えてきて、相乗効果みたいな感じでどんどん増えてきたんじゃないかな? そもそも社会に対して悪いことをしているわけじゃないし、法律を犯しているわけでもないしね。隠さなきゃいけない理由はないでしょ?」

 と、真剣な表情で答えてくれた。こんなごくごく当然のセリフを堂々と言えてしまうのがタイという社会なのである。


□インタビュー2 レックさん38歳・ノックさん26歳□

周りは普通のカップルとして接してくれる

(レックさん左・ノックさん右)

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