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 第4回 タイで生きるいろんな「性」のカタチ(3)

 昨年の6月に撮影したという『結婚記念写真』を持って仲良く現れたふたり。ふたりの左手の薬指にはマリッジリングが輝いていた。

「法律的に結婚はできないけれど、何か記念に残るものが欲しかったんだ」

 と語るレックさんはノーメイクでショートカットが似合うトムボーイ。38歳という年齢もあって、成熟した魅力の持ち主だ。いっぽうディーのノックさんは、強気だけれども恋に一途で情熱的な女性といった感じ。付き合い始めて2年というふたりには、依然ラブラブオーラがただよっている。

「小学校4年のときかな、自分は女の人が好きなんだってはっきりと認識したのは。物心ついたときから女の子にしか興味がなくって、それが特別なことだとは思っていなかったけれど。僕は9人兄弟の末っ子で、女が8人、男が1人だけなんだ。やっぱりお母さんは男の子が欲しかったみたいで小さいころから髪の毛は短くさせられて男の子の格好をさせられていたんだ。うん、それがトムボーイになったことに多少は影響しているだろうね。じつは僕のすぐ上のお姉さんもトムボーイなんだ」

と、レックさん。

「わたしは最初から『トムボーイが好き』ってわけではなかったんです。小6のときにトムボーイに口説かれたこともあったけど、そのときは別に興味がないって感じで。中学、高校にはいってからは何人かの男の子と付き合ってました。けれど17歳のときの恋人がすっごい浮気者でひどい人だったのね。その人との別れをきっかけにトムボーイに関心が向くようになったの」

 と、ノックさん。
 ふたりの場合あらためてカミングアウトする必要はなく、家族が少しづつ気づき始め理解を示してくれたという。周囲の人々はレックさんを普通の男性として、ノックさんをその恋人として接してくれているから、偏見を感じたことも自分たちのようなカップルを特別だと思ったこともないとか。これは恵まれたケースなのかもしれない。

トムボーイも男と同じように浮気者よ

 この取材の前日、伊勢丹のスーパーマーケットで仲良く買い物をするトムボーイとディーのカップルを見かけた私。バンコクにいるといろんなカップルを目にすることができて飽きない。しかしどうしてこんなに『異性愛じゃないカップル』が多いんだろう?

「トムボーイやディーが『おしゃれ』っていう風潮があるのは確かだね。30年ぐらい前にアンジェリーっていうトムボーイの歌手が出てきたんだ。とってもかっこよくて彼をきっかけに社会的に認められてきたんじゃないかな。ここ最近もトムボーイだって公言する有名人が少しづつ出始めてきて、トムボーイやディーは恥じることじゃないって考え方が出てきたんだと思う。もうひとつの大きな理由として、男の人と付き合ってひどいふられかたをしたとか、イヤな思いをしたとかでディーになる人が多いような気がする」

 丁寧にわかりやすく説明してくれるレックさん。

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