この再会の日、私は彼女を何分か待たせてしまった。じつはわざと遅刻した。百五十センチくらいしかない彼女はちょこんと立っている。そして手ぶらだ。私はこの「ちょこん」を見たかったのだ。まるで女子高生をうれしそうに眺めるスケベ中年親父みたいな私。
レイヤーがはいった黒髪は茶色に染められ、ノーメイクで年齢より幼く見えた顔つきはアイメイクも施され年相応の顔になっていた。
会うのは二度目でも手紙でやりとりをしていたせいか、どこか素直な態度に見えてしまうのは気のせいだろうか?
彼女は再びアイスティーをオーダーした。
何から聞くかを考えてきて、学校を中退するころからの話を聞くことにした。
――学校を辞めたのは高一のときだったよね?
「うん。高一のぎりぎりぐらい」
――悪くなったのはいつごろから?
「中学校の終わりから。きっかけなんかなかった。たまたま一緒にいた友達が悪くて、『なにか楽しいことしない? 恐喝? やっちゃおうか?』って。それで『金出せよ』とか言って成功してた。それから味をしめて小金を稼ぎまくった(笑)。いま思い出すと恥ずかしいんだけど(笑)。そういうことがあって、学校始まって以来の問題児だって言われて高1の終わりぐらいに辞めた」
――家族は両親と弟だよね? 何か辞めるとき言われた?
「停学とかで先生に呼び出される回数も多かったし、親もあきらめてたみたいでとくに何も言われなかった。あまり怒られもしなかったかな。私に興味がないんじゃないかな(笑)」
家族のことを中心に聞こうと思ってのぞんだ取材。彼女の口調がなめらかになる兆しはなさそうだ。
――いまもぜんぜん連絡とってないの?
「うん」
――去年私と会ってから一回も?
「うん(笑)」
何か家族について聞きたかった。
――どんな家庭だった?
「うちはなんの問題もない普通の家庭かな。でもつねに親が喧嘩していた。子供心に親が仲が悪いっていうのはあまりいいことじゃないなって思ってた。そのうち慣れちゃったけど。
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