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もうだいぶ話してない。お互い干渉しないっていうよりは、高校辞めた時点で親の期待を裏切りまくっているから。風俗やってるあいだは親に顔あわせづらいなって思ってるし」
さて、やくざアルマーニの彼とのその後だが、二人は別れた。それはアルマーニが元妻と子供と住み始めたからだ。彼女にも「私はいつも影のある男に縁があるみたい」ということで新しくホストの彼ができた。しかし完全にアルマーニとは縁が切れていない。アルマーニはデリバリーヘルスを始め、彼女はその店の裏方と表の仕事をこなし、一日の拘束時間は十五時間ぐらいになるという。収入も激減した。「彼はもう仕事仲間でしかない。お兄ちゃんみたいな存在」と彼女は言っていたが、その献身的と仕事ぶりを聞くと、アルマーニは彼女にとってまだ特別な存在のように感じられた。
もう少し仕事の話を聞かせてもらおうか・・・・・。
――これまでやってきて一番つらかった業種ってなに?
「一番つらかったのはソープ。あれはほんとに精神的にも肉体的にもきつかった。どんなおじさんでもおじいさんでもやらなきゃいけないっていうのがやっぱり苦痛だった。良かった思い出はなんだろ・・・・・・、そこのソープで働いてたときなんだけど、オープンで来てラストまで貸しきってくれたおじさんがいたことかなぁ。六十ぐらいの人で、何もしないでお寿司食べてしゃべってた(笑)。お金もはいるしうれしかったなぁ、あれは。何しに来たのかよく分かんないけど、多分さみしかったんだと思う」
――この仕事のいいところ、この仕事をやっていて辞めたいと思ったことの話をきかせてもらえる?
「いろんな人に会えるのが楽しいかな。いろんな職業の人、いろんな考えも持つ人がいて、話を聞いて、そういうこともあるのね、ふーんみたいな。くやしかったのはお客さんに服を放り出されたとき。デリヘルをやってたときがあったんだけど、ヘルスだから本番はできませんよって言ってるにも関わらず、やらせてって言ってきて、ごめんなさい本番は出来ませんって断ったら、『お前出てけよ』って服をぽーんと放り出されて。その人の自宅マンションだったから服がなかったら外に出れないじゃんって。それがあったあとしばらく仕事休んだ。仕事に行けなかった。怖いとかじゃなくて腹がたって。べつにお前が好きで来ているわけじゃねーよって。ただくやしかった。もうイヤだ、こんな仕事辞めてやるって思った」
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